第252回
「サラリーマンは、気楽な稼業と来たもんだ」

私は、「プロ」とは最後まで責任を持って
仕事をする人だと思うのですが、
ここ中国では、自分で出来る限りの事をやって、
それでも問題が解決しなかったら
「没法(どうしようもない)」で済ませてしまう人が多いです。

中国ではものすごいトラブルが起きているにも関わらず、
担当者が割とへらへらしているのはこの為です。
「俺はベストを尽くしたんだから、
あとはどんなに大きな損失が出ようと、
俺の責任じゃない」という事です。
「人事を尽くして、天命を待つ」という感じでしょうか。
確かに「天命」はコントロール出来ませんからね。

一方の日本のサラリーマンには、
自分の仕事に対する「プロ意識」が強い人が多い様に思います。
担当する仕事に強い当事者意識を持って臨み、
常に会社の損益を考えながら、
最後まで責任を持ってやり遂げる。
中国のサラリーマンが見たら
「日本のサラリーマンは、就職する時に
会社に対して個人の債務保証でも
入れさせられてるんですか?」
と思う様な責任感の強さです。
これは、経営者や株主にとっては、非常に有り難い事です。
やっぱり、日本のサラリーマンは、すばらしい!

しかし、この「プロ意識」が裏目に出て、
個人の人生をだめにしてしまう事もあります。
仕事で大きな損失を出して、
胃に穴をあけたり、気が狂ってしまったり、
果ては、過労死したり、自殺をしてしまったり、
という事が日本ではよく起こります。
「プロ意識」が無い中国のサラリーマンにとっては、
仕事「ごとき」で人生を棒に振ってしまう事など、
信じられない話です。

「サラリーマンは、気楽な稼業と来たもんだ」。
「無責任シリーズ」が流行った頃、日本は高度経済成長期。
植木等演じる「無責任男」は、
高度経済成長の中で、馬車馬の様に働く
巷の「モーレツ社員」へのアンチテーゼでした。

今、中国は高度経済成長の真っ只中。
しかし、仕事が原因で過労死した、とか、
自殺した、という話は余り聞きません。
中国の「無責任男」たちは、
「楽して儲けるスタイル」で
このまま行ってしまうのかもしれません。


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