第254回
安いんだから、買って家で読みなさいよ!

中国の本は安いです。
例えば、今、私の手元にある中国地図帳。
100ページちょっと、全ページカラー印刷で、
17.5元(263円)です。
これは中国の物価水準を考慮に入れたとしても、
割安な値段です。
これは、収入の低い人たちが、本が高くて買えない、
などという事がないように、
中国政府が低めの値段設定をしているものと思われます。

にも関わらず、中国の本屋には、
立ち読みをしている人がたくさんいます。
正確には、「座り読み」で、
皆さん、じっくり腰を据えて読んじゃってます。
たくさんの人が階段や通路に座り込んで、
一心不乱に本を読んでいるので、
混んでいる時はそれこそ足の踏み場もない状態になります。
安いんだから、買って家で読みなさいよ!

中国の本屋に置いてある本は、
日本に比べ、内容が硬いものが多い様に思います。
何しろ、北京の大手書店、王府井書店の売上ベスト3は、
1位 中国共産党党内監督条例(試行)
2位 中国共産党紀律処分条例
3位 中華人民共和国憲法
と、むちゃくちゃ硬い本が並びます。

そこまで硬くなくても、
本屋に並んでいる大部分の本が
学術書か経済や生活の実用書です。
こうしたラインナップを見ると、
中国では「本」とは「知らない事を学ぶ為の手段」であり、
「娯楽の手段」ではない事が分かります。
そうした事もあってか、
飛行機や電車の中で本を読んでいる人は、
日本に比べてずっと少ないです。

中国で欲しい本を探すにはどうするか。
まずは大型書店、
北京なら「図書大厦」や「王府井書店」などで探します。
それでも見つからない専門性の高い本の場合、
「冶金書店」、「航空書店」などの
専門書店に行けば見つかるかもしれません。
こうした専門書店は、
そのテーマを管轄する官庁の建物に
隣接している場合が多いです。

私も以前、石炭貿易の仕事をしていた時には、
「煤炭書店」によく通いました。
「煤炭書店」は小ぢんまりとした本屋ですが、
置いてある本は全て石炭関係。
中には日本では知られていない様な
「お宝情報」が満載された本もあります。
「石炭マニア」にとっては、たまらない場所です。

日本の本屋とはちょっと違った雰囲気の中国の本屋。
中国に出張や旅行で来られるチャンスがある方は、
時間があれば、一度覗いてみては如何でしょうか。


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