第258回
中国では商売にならない商品やサービス

日本と中国の消費者の「常識」が違う、
というのは食べ物に関してだけではありません。

例えば、浄水器。
日本の家庭ではかなり普及している浄水器ですが、
中国では流行る気配がありません。
これは、中国の人たちにとって、
浄水器で濾過するとはいっても、
水道の蛇口から出る水をそのまま飲むのは、
非常に抵抗がある為だと思われます。

私たち日本人は、
子供の頃から水道水をそのまま飲んでいました。
それが、以前より水質が悪くなった事と、
以前より人々が潔癖になった事で、
浄水器を付ける様になりました。
しかし、中国の人たちは、子供の頃から
「お腹を壊すから、水道の水は飲んじゃだめだよ」
と言われて育っています。
いくら、浄水器メーカーが
「市販のミネラルウォーター並みの水質になる」
と宣伝しても、心理的な抵抗感は払拭出来ないのでしょう。

自動車に関してもそうです。
中国はモータリゼーションで、
車の数がどんどん増えてきていますが、
中古車市場が形成される気配はありません。
中国では車は新車で買って、
壊れて動かなくなるまで乗り潰すのが「常識」です。

これは、中古車は前の人がどんな乗り方をしているか分からず、
買ってもすぐに壊れてしまう可能性があるので、
それだったらちゃんとした新車を買った方が良い、
という論理なのではないかと思います。

こういう疑り深い人たちを相手に商売をするには、
「確実に良いものが買える」という信用を得る事が大切です。
良質な中古車ばかりを厳選し、
販売後3年間とか5年間は故障しても無料で修理する、
という保証を付けて販売する事が出来れば、
中国中古車業界の第1人者になれるかもしれません。

逆に、販売する側が疑心暗鬼になっていて、
全く発達していないのがレンタカー業界です。
車をそのまま持って行かれて、
どこかに売り飛ばされてしまうリスクは、
いくら身分証明書や運転免許証のコピーを取っても
回避できません。
「盗まれた」と言われればそれまでです。

この国では、何かものを貸す時には、
そのものの現存価値を上回る保証金を取るのが「常識」です。
万一、貸したものを持ち逃げされても、
その保証金で同じものを買って
おつりが来ますので、貸し手もくやしくありません。

しかし、20万元(300万円)の車を貸すのに、
20万元以上の保証金を取る訳には行きません。
そんなお金を現金で用意出来る人は、
最初からレンタカーなど借りません。

「日中タイムマシン経営」の観点から見れば、
日本の商品やサービスをそのまま中国に持って来れば、
すぐに商売になるものもたくさんあるのですが、
一方で、上記の様に、中国特有の事情で
商売にならない商品やサービスもあります。
こういう事も中国に住んでみて始めて分かる事です。


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