第270回
「業主」はつらいよ

一見すると不労所得で左うちわの「業主」ですが、
中国で「業主」として家賃収入を得るのは実は大変です。

まず、マンションを買ってもほとんどの場合、
コンクリート打ちっぱなしの状態で受け渡しとなり、
内装は「業主」がやる事になっています。
「業主」のセンスで自由に内装出来る、
という利点はあるのですが、
内装にかかる費用はバカになりませんし、
内装費をケチって、安っぽい造りの部屋になってしまうと、
借り手が付かなくなってしまいます。

内装をしたら、賃貸に出さなければならないのですが、
自分で借り手を探すのは大変です。
そこで、不動産仲介会社に登録して
借り手を探してもらうのですが、
借り手が見つかって契約、となったら、
不動産仲介会社に家賃1ヶ月分相当の
手数料を払わなければなりません。

借り手が決まった後も、家具や電化製品は
一般的に「業主」が買って揃える事になっています。
もちろん所有権は「業主」にあり、
借り手に対して部屋と一緒に貸す、という事なのですが、
家具と電化製品一式を新品で揃えるとなるとかなりの出費ですし、
借り手が使えば中古品となってしまいますので、
価値はガタ落ちになってしまいます。

家具や電化製品は、「業主」が勝手に買い揃えると、
あれが気に入らないとか、これが嫌だとかいう話になりますので、
通常、借り手が賃貸契約を結ぶ事を前提に、
借り手が好きな家具や電化製品を「業主」が買ってあげる、
という形になります。

しかし、借り手の中には、
えらく高い電化製品を要求する人もいますし、
最初の借り手にセンスの悪い家具を選ばれた日には、
次の借り手に部屋を貸す時に、
また家具を買い直すはめになります。

借り手のわがままを聞いていたら、
お金がいくらあっても足りないのですが、
賃貸契約を結んでもらう為には、
「業主」はじっと耐えなければなりません。

まさに、「業主」はつらいよ、です。


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