第283回
炒めたり、遊んだりですよ!株式を!

中国では、株式もギャンブルの一種と捉えている人が
多い様に思います。

そもそも、株式とは、
資本主義社会における会社の資金調達方法の一つであり、
会社は多くの株式を発行して多額の資金を調達する事により、
個々人の資金力や信用力では果たせない
大きな事業を行う事が可能となります。

しかし、中国で株式を買っている人は、
そんな崇高な資本主義の理想とは全く関係無く、
保険同様「比較的割の良いギャンブル」ぐらいに
考えている様です。

中国にも「体育彩票(てぃーゆぃーつぁいぴゃお)」
と呼ばれる宝くじがあるのですが、
以前、私の中国人の友人が
「体育彩票は全然当たらないから、
今度から株を買う事にした」と言っていました。

彼の頭の中では、「体育彩票」も「株式」も
同じカテゴリーに分類されている様です。
中国語で株式の事を「股票(ぐーぴゃお)」と言いますので、
同じ「票」系という事で、
一括りになっているのかもしれません。

「股票」に付く動詞もふざけています。
中国語で「株式を売買する」と言う場合、
もちろん、正式な場面では
股票(まいまいぐーぴゃお)」と言うのですが、
普段の会話では「炒股(ちゃおぐー、株を炒める)」とか
「玩股(わんぐー、株で遊ぶ)」などと言います。
炒めたり、遊んだりですよ!株式を!

そんな人たちがたくさん参加している中国株式市場が、
堅調な中国経済の成長とは裏腹に乱高下するのは、
ある意味当たり前だと思うのです。
株式を一種のギャンブルだと考えている彼らは
目先いくら儲けるか、しか考えていませんので、
企業の成長力を見込んで長期的な投資をする、
なんて事はしません。
下がれば慌てて売りますし、上がれば慌てて買います。
邱さんの言い方をお借りすれば、
今日の波が高い、低いで一喜一憂して、
潮の流れを見ていない、という状態です。

現状、中国の人たちに売買が許されているのはA株だけですが、
今後、B株と統合されたり、
香港市場の株も買える様になったり、という事になると、
我々外国人が持っている中国株の株価が、
中国経済の実態や、その企業の実力とは関係無く乱高下する、
なんていう事も起こってくるのではないかと思うのです。


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