第291回
「渋滞ビジネス」

北京の街の渋滞は日に日にひどくなっています。
特に、朝夕の通勤時の渋滞はひどく、
一時期のバンコクの様に、
1kmぐらいの距離ならば、車で行くより歩いた方が早い、
という様な状況の所もあります。

最近、こうした渋滞ポイントを狙って
「渋滞ビジネス」をする人が増えつつあります。
さすが中国商人、商魂たくましいです。

一番多いのが新聞を売る人。
これは買う人が多いです。
特に、新聞スタンドに寄る暇も惜しんで営業をする
タクシーの運転手には、評判が良い様です。

次に多いのが地図を売る人。
ドライバーに携帯用の北京市交通地図を売る、
というのは理解出来るのですが、
中には壁掛け用の大きな中国地図や世界地図を
担いで売っている人もいます。
渋滞中に「そういえばうちの応接間の壁に世界地図が欲しいな」
と思う人は、ほとんどいないと思うのですが...。

あとは、車の埃をはらう羽根棒や、
ハンドルカバーなど、車のアクセサリー関係。
これも、あまり買っている人はいません。
どうせ買うなら、品揃えの多い車のアクセサリー専門店で、
じっくり選んで買いたい、という事なのでしょう。

この間ビックリしたのは、
生きているスッポンを売っている人がいた事です。
多分、スッポン鍋用だとは思うのですが、
わざわざ渋滞中に買う人はいないのではないでしょうか。
買ったはいいが、運転中に網から抜け出して、
噛まれでもしたら、どうするんですか。

みんなから嫌がられているのが、
窓からチラシを投げ込む人です。
投げ込まれない様に窓を閉めていると、
ワイパーに挟んでいきます。
これは渋滞のイライラを倍増させます。

このチラシは新築マンションの広告が多いです。
マイカーを持っている人は、マンションを買う可能性も高い、
という事でしょうが、
マンションを欲しくない人にとっては迷惑な話です。

逆に、歓迎されているのは、
揃いのコスチュームに身を固めた、
試供品配布の女の子です。
ナビスコのオレオなど食べ物関係が多いのですが、
試供品をもらうドライバーは
みんなとっても嬉しそうです。

こないだ乗ったタクシーの運転手なんか、
他の売り子が近づいてきた時は、
窓を開ける気配もなかったのに、
試供品の女の子が近づいてきたら、
自分から窓開けて待ってましたからね。

渋滞中、ドライバーはやる事がありません。
ドライバーが欲しいものを用意出来れば、
普段は忙しくて立ち止まってもくれない人でも、
渋滞中は話を聞いて、ものを買ってくれるかもしれません。
これから北京の街は、更に渋滞が激しくなる事が予想されます。
こうした「渋滞ビジネス」は今後、
益々盛んになっていくのではないでしょうか。


←前回記事へ 2004年9月6日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ