第310回
事実上のハードカレンシー、人民元

最近は随分沈静化していますが、
一時期は人民元の切り上げや、
人民元の変動相場制移行の可能性が
ニュースでも大きく取り上げられました。

人民元が切り上げられればもちろんの事、
人民元が変動相場制になっても、
大幅な人民元高の相場が形成される確率が高い為、
日本では人民元建ての資産に投資したり、
人民元そのものを買ったり、
という人が増えている、と聞いています。

しかし、第73回「人民元でもらってもねぇ」
でもお話しした様に、
人民元は外貨に兌換できる
ハードカレンシーではありませんので、
中国に買ったマンションの家賃や売却代金を
人民元でもらっても、
外貨にして海外に持ち出す事が出来ません。

中国に住んでいるなら良いのですが、
人民元は日本ではただの紙くずですので、
日本に住んでいる人は、
人民元ばかりがどんどん貯まっても困ってしまいます。

そこで、第73回「人民元でもらってもねぇ」では、
少額ならば香港のマネーチェンジャーで、
人民元を香港ドルに換えられる、というお話をしました。
香港ドルは外貨に兌換できるハードカレンシーですので、
2回手数料を取られてしまいますが、
一旦人民元を香港ドルにして、
香港ドルを日本円にすれば、
人民元建てでもらった家賃や売却代金を、
日本円にして日本に持ち帰る事が可能となります。

今回、香港に行った際に、銀行で訊いてみたのですが、
今年1月からは、銀行でも人民元を香港ドルに
換えてくれる様になったそうです。
銀行が人民元を兌換してくれるとなると、
かなり大きな金額の人民元も
香港ドル経由で日本円にする事が可能となります。

香港、という特殊な位置付けの地域の存在により、
人民元は事実上、
既にハードカレンシーの仲間入りをしています。

おかげで、中国に人民元建ての資産を買った日本人が、
人民元がいつまでもハードカレンシーにならない為、
人民元を使う為にやむなく中国に移住する、
なんていう事態が発生する可能性も無くなりました。


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