第311回
ヤミ両替屋、消える!

人民元の切り上げ観測が流れたり、
人民元が事実上のハードカレンシーとなった事によって、
商売上がったりなのがヤミ両替屋です。

ヤミ両替は中国でももちろん、違法行為です。
しかし、以前、人民元より外貨の方が価値が高く、
人民元が全く外貨に兌換出来なかった時代には、
銀行の前などにたくさんのヤミ両替屋がいました。

ひどいのになると、銀行の中まで入って来て、
外貨を人民元に両替する為に
窓口に並んでいる外国人を見つけては、
両替を持ちかけていました。

ヤミ両替屋は銀行より良いレートで、
外貨の両替を持ちかけます。
例えば、銀行のレートが1米ドル=8.3人民元なら、
ヤミ両替屋は1米ドル=8.8人民元ぐらいのレートを提示します。
1米ドル当たり0.5人民元高く買ってくれる訳ですから、
両替する人の立場で言えば、
ヤミで1,000米ドル換えると、
銀行で換えるより500元(7,500円)お得、
という事になります。

ヤミ両替屋は、こうして手に入れた外貨を、
外貨が必要な人に更に高く売り付けます。
1米ドル=8.8人民元で仕入れた1,000米ドルを、
1米ドル=9.3人民元で売れば、
500元(7,500円)がヤミ両替屋の利益となります。

その辺の店の売り子が、
月600-700元(9,000-10,500円)の給料で
働いている事を考えれば、
ほんの数分の売買で500元を稼ぐ、
というのはすごい事です。

では、外貨が必要な人、
というのはどういう人なのでしょうか。
これは、実際、ヤミ両替業界で働いた事がないので、
本当の所は分かりませんが、
海外に留学する人や、
仕事で海外に出張する人たちなのではないかと思います。
人民元をたくさん持っていても、
海外に行けば紙くずですので、
1米ドル=9.3人民元という悪いレートでも、
買わざるを得ないのでしょう。

しかし、今では、時期は別として、
人民元の切り上げはほぼ確実と言われている為、
外貨よりも人民元を手に入れたい人が増え、
香港に行けば、
人民元を合法的に外貨に換える事が
出来る様になりましたので、
わざわざヤミ両替屋で両替をする人はいなくなり、
ヤミ両替屋の姿を見る事もなくなりました。

中国の早い時代の流れによって
淘汰された商売の一例です。


←前回記事へ 2004年10月22日(金) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ