第336回
「内装休暇」

中国には「内装休暇」というものがあります。
これは公に認められている休暇ではないのですが、
従業員が新しく買った家の内装を理由に
当然の様に休暇を申請する、というものです。

日本でこんな事を理由に上司に休暇を申請したら、
「この忙しい時に、寝ぼけた事言うな、バカタレ!」
と一蹴されそうなのですが、
中国の上司は事情を良く分かっていますので、
快く休暇を許可する様です。

中国ではマンションを買っても、ほとんどの場合、
コンクリート打ちっぱなしの状態で引き渡される為、
内装は自分でやらなければなりません。

この場合、マンションの価格には
内装代は入っていません。
お買い得だと思って買ったマンションが、
内装代を加えたら、
とんでもなく高いものになってしまった、
というのはよくある事です。

内装は床板、壁面資材など大きいものから、
水道の蛇口、電球など小さなものに至るまで、
全て自分で決めて買わなければなりません。

大変と言えば大変ですが、逆に言えば、
ゼロから理想の「自分の城」を
デザインする事が出来る訳ですから、
家に対する愛着は、
内装済みの家を買った人よりも、
ずっと強くなります。

こうした床板や水道の蛇口等は、
郊外にある「建材城」で買って、
新居に届けてもらうのですが、
それらの取り付けはやはり、
専門の内装業者に頼む事になります。

普通、日本で内装業者に
家のリフォームを頼んだりする時には、
設計図さえあれば、四六時中監視していなくても、
期日には設計図通りのものが出来上がっています。

しかし、中国の内装業者は、
ちょっと目を離すととんでもない事をしでかしますので、
家を買った人はみんな、
「内装休暇」を取得する必要が出てくるのです。


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