第349回
上海の日本語人材不足

上海は日本企業が進出しやすい条件が揃っていますので、
製造業もサービス業も、「中国進出」と言えば、
「まずは上海」という事になります。

そんな事で、上海では昨年、
1日3社のペースで日系企業が増加し、
上海に進出している日系企業は
既に5,000社に達している、と言われています。

こうした日系企業の進出ラッシュが続くと、
当然出てくるのが人材不足の問題です。
今、上海では、日本語を話せる人材の不足が
深刻化している様です。

元々上海は、大連と同様、
第一外国語として日本語を勉強する人が多い所です。
これに対し、北京は、第一外国語が英語の人が多いので、
日本語を話せる人材の層、という点では、
上海や大連にはかなわないのが実態でした。

しかし、その上海でも日本語を話せる人材が足りない、
という事は、
それを上回るペースで日本企業が進出している、
という事です。

更に、既に上海に進出している日本企業が、
日本語を話せる人材の増強を図っている事も、
人材不足に拍車を掛けている様です。

やはり、中国語がへたで、コストの高い
日本人駐在員に何でもかんでもやらせていては、
いつか来るであろう地元企業との競争に
勝てる訳がありません。

各社ともようやく、
日本人駐在員には日本人にしか出来ない仕事をやらせ、
日本語を話せる優秀な中国人を、
将来の現地法人の経営幹部として育てる、
という方向に考え方をシフトしている様です。

こうした人材不足の事態を憂慮した
上海の日本商工クラブは、
先月、日系企業による合同就職説明会を開催しました。
ソニー、東芝、三菱重工など37社が参加し、
2005年卒業予定の学生など約570人に対し、
会社の説明や面接を行った、との事です。

良い人材を採用出来るかどうかは、
日本企業の中国進出が成功するかどうかのカギを握る、
と言っても過言ではありません。

今後、中国に進出した日本企業の間で、
日本語を話せる優秀な人材の争奪戦が繰り広げられ、
それに従って、日系企業の人件費は、
更に上昇していく事が予想されます。


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