第351回
「給料は生み出した付加価値によって決定される」

中国に進出している日本企業が、
欧米企業の様に「現地法人の経営は現地人に」と考え、
優秀な人材を確保して、
将来の現地法人の経営幹部を育て様と思ったら、
給与制度も欧米企業の様に
変えていく必要があるかもしれません。

と言うのは、欧米企業では
「給料はどこの国の社員であろうが、
本人が生み出した付加価値によって決定される」
という考え方が徹底しているのに対し、
日系企業は
「給料はその土地の物価によって決定される」
という考え方から
抜け切れていない様に思われるからです。

例えば、北京の現地法人の中国人社員が
年間1億円の利益を会社にもたらしたとします。

欧米企業であれば、
「本社だろうが北京の現地法人だろうが、
年間1億円の利益を会社にもたらした人には、
1,500万円の年俸を与える」と考えます。

しかし、日本企業の場合、
「日本なら年間1億円も利益をだしたら、
1,500万円の年俸をあげてもいいけど、
北京は物価が日本の1/5なんだから
300万円で十分じゃないか。
北京で年収300万円なら、
日本の年収1,500万円の人と
同じぐらい良い生活が出来るだろう」
と考えます。

中国人の社員からしてみれば、
「この国の物価がどうだろうが、
私がどこの国籍だろうが、
年間1億円の利益を会社にもたらした、
という事実は変わらないんだから、
ちゃんと平等に処遇して欲しい」
という事になります。
確かに、それはごもっとも。

こんなですので、
現状、日系企業は欧米企業に比べて人気がなく、
北京の外国企業勤務者の間では
「日本語より英語を勉強した方が金になる」
というのが、半ば常識となっています。

日系企業が優秀な人材を確保する為には、まずは
「給料は本人が生み出した付加価値によって決定される」
という考え方を徹底する事が必要だと思います。

その上で、
現地法人のトップに
昇格するチャンスがあるのはもちろんの事、
更に、本当に優秀であれば、
本社に転勤して、本社で昇進の階段を上り、
考えられないぐらい巨額の報酬を得る、
というチャンスを用意する必要が
あるのではないでしょうか。


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