第372回
「脱サラで収入3倍!大成功!」

中国の引越会社は、
作業員の給料を抑えている分、
社長が大儲けしているのか、
というと、そんな事もなさそうです。

例えば、トラックを2台買い、作業員を10人雇って、
1日平均4件、月に120件の引越を請け負ったとします。
月の売上は200元×120件=24,000元(360,000円)。
ここからトラックの償却、作業員の給料、
その他もろもろの経費を引くと、多分利益は、
多くても8,000元(120,000円)ぐらいしか残りません。

それでも社長は、
元々のサラリーマン時代の給料が安かったので、
「脱サラで収入3倍!大成功!」という感じです。

一方、日本人サラリーマンが会社を辞めて
中国で引越会社を起業したとします。
上記のケースと同じ様に
月に8,000元の利益が出たとしても、結果的には
「脱サラで収入1/3!大失敗!」です。
これではわざわざ大きなリスクを張って
中国で起業する意味がありません。

確かに、めざましい経済発展を遂げる中国には、
ビジネスチャンスがいくらでもころがっています。
経済が既に成熟してしまった日本を飛び出し、
勢いのある中国に来れば、
何をやっても儲かる様な気がしてきます。

しかし、月に8,000元儲かって
喜んでいる地元の人たちと、
私たち日本人が価格で戦っても、
勝てる見込みはありません。

引越業界に限らず、
私たち日本人が、中国で起業する場合は、
中国の人たちには絶対にマネのできない
付加価値の高い商品やサービスを提供し、
地元企業との価格競争に巻き込まれない様、
気を付けなければいけません。

中国の人たちの思い描く「大儲け」と、
私たち日本人の思い描く「大儲け」では、
ケタが1つ違うのです。


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