第375回
「ブルジョワ階級」の飲み物、トール・ラテ

「人民元は55%も過小評価されている!
人民元の適正レートは1ドル=3.75元だ!」
と言う「ビッグマック指数」。
一方で、「いやいや、人民元のレートは
現行の1ドル=8.28元でほぼ適正だ!」
と言う「ラテ指数」。
どちらの指数が現行の人民元のレートを
正しく評価しているのでしょう。

私の答えは、
「どちらの指数も正しく評価していない」
です。

まず、「ラテ指数」。
アメリカや日本におけるトール・ラテの位置付けは、
仕事や買物の合間にちょっと飲む、
比較的気軽な飲み物です。
しかし、中国におけるトール・ラテは、
完全に「ブルジョワ階級」の飲み物です。

私、昼食はいつも、
オフィスがある幸福大厦の1階の食堂で
「8元(120円)定食」を食べています。
この「8元定食」、
肉料理、野菜料理、スープ、ご飯がセットになった
ボリュームたっぷりの定食です。

しかし、その後で、星巴克に行って
23元(345円)のトール・ラテを飲むと、
非常に大きな矛盾を感じます。
だって、食後のコーヒー1杯が、
昼食本体の3倍近い値段なんですよ!

トール・ラテの値段設定を見れば、
スターバックスの中国戦略が
「ブルジョワ階級」マーケット狙いである事が
よく分かります。

同時に、1ドル=8.28元という現行レートは、
「ブルジョワ階級」レートである事が分かります。

中国の「ブルジョワ階級」は、
1ドル=8.28元、という現行レートの下で、
アメリカ企業や日本企業が、
本国のモノやサービスをそのまま持って来て、
値段を下げずに売っても、
ちゃんと買えるだけの購買力を持つまでになっている、
と言う事です。

中国の「ブルジョワ階級」の比率は、
まだまだ非常に小さいと思われますが、
人口の母数が大きいので、
絶対数ではかなりの数になるのではないでしょうか。
アメリカ企業や日本企業は、
本国の成熟しきったマーケットで過当競争をするより、
未開拓の中国「ブルジョワ階級」マーケットを狙った方が、
儲かるのかもしれません。


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