第387回
「民主主義の代償」

中国政府の政策は、非常に分かり易いです。
「国益」という観点で首尾一貫しています。
これも、ひとえに共産党一党独裁体制のお陰です。

政府がいろいろな人や団体の利害に
気を使わなければいけないどこかの国の政策が、
あっちへ行ったり、こっちへ来たり、
迷走しているのとは大違いです。

こういう違いを目の当たりにすると、
「民主主義の代償」というのは
非常に大きなものである事がよく分かります。
アメリカはおせっかいにも、
「世界中の国を民主主義に変える!」
と張り切っていますが、
中国の様な発展途上の国には、
やはり、一党独裁体制が合っていると思います。
民主化するのは、発展が完了して、
先進国の仲間入りをしてからでいいですよ。

第124回 開発独裁は「善」か「悪」か?
でもお話しましたが、
中国の今日の急速な経済発展は、
共産党一党独裁体制あってのものです。
この開発スピードの速さは、
立ち退き交渉の無い中国ならでは、です。

中国では土地は全て国家のものです。
「不動産を買う」と言っても、
それは「建物と借地権を買う」という事であって、
土地を所有する事はできません。

ですから、ある日突然、市の役人から電話が掛かってきて、
「ここに道路を作るので、今月中に出ていってください」、
と言われれば、土地の所有権を主張する事はできず、
立ち退かなければなりません。

「北京市都市計画局の年間計画会議は1分で終わる」
と言われています。
都市計画局の幹部が勢揃いした会議室。
前方に貼られた北京市の地図。
局長がおもむろに前に出て、
持っていた赤ペンで、地図に何本かの線を引き、
「今年はここに道路をつくる!」
と宣言して会議は終了、らしいです。

会議終了後、各局員は手分けして、
局長が引いた赤線の下に住んでいる人に電話をして、
立ち退きを通知します。
だから、北京の新しい道はみんなまっすぐなんだよ、
というのがオチです。

どうせこんな話は誰かが勝手に
おもしろおかしくして言いふらしている
作り話なのでしょうが、
北京の新しい道がみんなまっすぐなのを見ると、
「もしかすると本当に局長が
赤ペンで線を引いているのかもしれない...」
と思ってしまいます。


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