第389回
とりあえず全部禁止

中国政府の「コントロール」は、
企業活動にも及んでいます。
中国では一見、社会主義国家とは思えないほど、
自由な経済活動が許されている様に見えますが、
法律を見ると、実は規制でガチガチです。

中国政府のやり方は
「とりあえず全部禁止しておいて、
個別案件毎に何らかの理由を付けて、
「特例」として許可を出す」というものです。
法律の縛りを緩くして、
「最低限これだけ守れば、何をやっても自由」
というやり方ではありません。

中国政府は、こういうやり方で、
自身の「コントロール」権限を保っているんですね。

ですから、法律を額面通りに読むと、
どう考えても許可されない案件が、
知り合いのつてを頼って、
監督官庁のキーパーソンにお願いすると、
いとも簡単に許可が下りてしまう、
という様な事が起こります。

こんな国ですので、中国の優秀な弁護士、とは、
法律に詳しい弁護士ではなく、
各方面に顔が利く弁護士、という事になります。

かわいそうなのは、こうした中国の事情を
本社が全く理解していない日本企業の駐在員です。
特に、最近日本では、企業の不祥事が頻発、
各企業が「コンプライアンス(法令遵守)」に
非常に敏感になっている事もあり、
駐在員が「法律ではこうなってますが、
知り合いのつてを頼って何とか許可を取りました」
なんて事を言おうものなら、
「とんでもない事をしてくれた!」
という事になってしまいます。

本来は褒められこそすれ、
怒られる事ではないのですが...。

もちろん中国でも法律を遵守して
企業活動を行うのが基本です。
しかし、中国と日本では、
許認可一つとっても、事情が違います。
日本企業が中国に進出するに当たっては、
駐在員のみならず、本社の幹部も、
こうした違いを良く認識する必要があるかと思います。


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