第390回
「国に政策あれば、民に対策あり」

中国では会社の運営に対する政府の「コントロール」も、
日本より厳しいです。

まず、ある程度以上の金額の現金を
銀行の会社の口座から引き出すには、
何に使うのか、引き出す理由を書かないと
引き出させてもらえません。

「自分の会社の金引き出すのに、
なんで理由書かないかんねん!」とも思うのですが、
中国では個人企業といっても、企業は公器、
お金の動きは常に、政府に監視されています。

「発票(ふぁーぴゃお、領収書)システム」も、
中国政府が企業を「コントロール」する為の
重要な手段です。

第263回 「性悪説」税務システム
でもお話しましたが、
中国の発票は、日本の領収書の様に
文房具屋では売っていません。
全て税務局から買う事になっています。

以前は通し番号の付いた発票を税務局から買い、
手書きで発行した発票の写しを、
全て、税務局に提出する事になっていました。
「この会社には、1番から100番までの発票を売り、
1番から50番までの写しが来ているから、
51番から100番までの発票は、
まだこの会社が持っている」という方法で管理して、
脱税を防いでいました。

しかし、それでもニセモノの発票を作って売る輩が増え、
「コントロール」が利かなくなってきましたので、
中国政府は、発票の発行を全て機械打ちとし、
機械打ちの為にインプットした発票情報は、
全て、インターネットで
税務局に送信される方法を採用しました。

この方法だと、従来の様に、
ニセモノの発票をお客さんに渡して、
売上を隠す、という事ができません。
これに従い、以前は「ふぁーぴゃお、ふぁーぴゃお」と
独り言の様につぶやいているニセ発票の売り子が
道端にたくさんいたのですが、
最近は、全然いなくなりました。

しかし、税務の専門家に言わせると、
この方法で取り締まれるのは氷山のほんの一角であり、
中国では未だに巨額の脱税が放置状態になっている、
との事です。

さすがは「国に政策あれば、民に対策あり」の国。
この手のイタチごっこでは、
日本より何歩も先に行っています。


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