第398回
「並ばない遺伝子」

中国の人口の大部分を占める、
「富士山型」年収分布の
1合目、2合目に位置する人たちは、
横入りする事を全く悪い事だと思っていません。

彼らは、昔から当たり前の事として、
並ばないで生きてきましたので、
私が横入りした人に
「あんた、列の後ろに並びなさいよ!」などと怒鳴ると、
キョトンとした顔で見返されてしまいます。
いかにも「おまえ、何言ってんだ。
列の後ろなんかに並んだら、
いつまでたっても買えないじゃないか」
と言いたげな目で...。

私、思うに、こうした人たちには
既に「並ばない遺伝子」が
組み込まれてしまっていますので、
急に「並べ!」と言われても、
一朝一夕には変われないのではないかと思います。

中国は、昔から戦乱が多く、
貧しい時代が長く続いてきましたので、
行儀良く列に並んでいる様な人たちは、
みんな餓死してしまい、
われ先に!、と群がって、
食べ物を掴み取った人たちの子孫だけが、
現代まで生き残っているのかもしれません。

ダーウィンの「進化論」の様に、
「並ばない遺伝子」を持った人は、
「適者生存」し、
「並ぶ遺伝子」を持った人は、
みんな「自然淘汰」されてしまったのでしょう。

一方の、日本は、なんだかんだ言いながらも、
平和な世の中が長く続きましたので、
「並ぶ遺伝子」を持った人でも
生き残れたのではないでしょうか。
逆に、日本は村社会ですので、
「並ばない遺伝子」を持った人たちは、
共同体から村八分にされ、
「自然淘汰」されていったのかもしれません。

北京市政府は2008年のオリンピックを控え、
外国から来るお客様に失礼のない様に、市民に対し、
「何かを買う時には、行儀良く並びましょう」
という啓蒙活動を行っていますが、
なかなか効果は現れていない様です。
やはり、遺伝子は教育や啓蒙で変わるものではありません。

中国の人たちから「並ばない遺伝子」が無くなるには、
中国が、列に並んでも餓死しない
平和な世の中になってから、
更に、3世代、4世代かかるのではないでしょうか。


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