第403回
JR福知山線の脱線事故

先月、兵庫県尼崎市で起きた、JR福知山線の脱線事故は、
死者が100名を超える大惨事となりました。
お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、
お怪我をされた方々にはお見舞いを申し上げます。

今回の事故は、前の駅で
40メートルものオーバーランをしてしまった運転手が、
その遅れを取り戻す為にスピードを出し過ぎて、
カーブを曲がりきれなかった為に起きた、
と見られています。

国土交通省は列車が制限速度を超えている場合、
自動的にブレーキがかかる新型ATSを設置するまでは、
福知山線の運転再開は認めない、としていますが、
これは対症療法に過ぎず、根本的な問題は、
並行して走る私鉄との激しい競争により、
超過密になったJRのダイヤにある、と言われています。
1列車の数分の遅れが、
ダイヤ全体に影響を及ぼしてしまうのです。

中国では、こういう理由で
鉄道事故が起こる事はありえません。

中国の列車の運転手が
40メートルのオーバーランをしてしまったら、
どうするでしょう。
多分、何事もなかったかの様に駅に戻り、
乗客を乗り降りさせ、
何事もなかったかの様に発車して、
普通の速度で走り続けるでしょう。

元々、ダイヤに余裕がある、
という事もあるのでしょうが、
列車は遅れるのが当たり前、の中国では、
「遅れを取り戻そう」
なんていう発想自体なさそうです。

私は以前、中国人の友人から
「日本の電車っていうのは、
駅にある時刻表が分刻みになってて、
ほんとにその通りに来るんだってなぁ。
すごいなぁ。」と言われた事があります。
それから彼は、日本の鉄道運行技術のすごさを語り、
中国もこれからは日本を見習って、
時間通りに物事が運ぶ様にならなくてはいけない、
という話をしました。

しかし、今回の尼崎の事故を目の当たりにしてしまうと、
「ピンと張った糸は切れやすい」というフレーズが
頭に浮かんでしまいます。

精緻で「あそび」のないシステムは、
平時は非常に効率的なのですが、
何かちょっとしたミスが起こると、
その脆さを露呈します。
これは鉄道運行に限らず、
日本社会全体に言える事です。

列車は遅れるのが当たり前、で
世の中がある程度回っていくのならば、
中国は現在の様な、いくら弾いても切れない、
「ゆるゆるの糸」のままの方が、
良いのかもしれません。


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