第413回
日本人の完璧主義

新しいオフィスの内装にかかった費用は、
75m2で約3万元(45万円)。
多分、日本でこれだけの内装をすれば、
桁違いの金額を請求されると思われますが、
中国ではこの程度で済みますので、
当社の様な零細企業でも、
割と気軽にオフィスの引越ができます。

ただ、この内装、
一見、非常にきれいにできているのですが、
やはり、近寄って細かく見ていくと、
仕上げが雑な部分が多々あります。
ペンキがちょっとだけはみ出ていたり、
扉のつけ方が微妙にずれていたり。

これが例えば、
中国に進出した日本の内装会社に内装を頼めば、
ペンキはビシッとはみ出ずに塗られ、
扉は1mmの狂いもなく取り付けられるのでしょう。
しかし、その完璧な仕事に対して、
値段が中国企業の何倍にもなってしまう様であれば、
仕上げは多少甘くても、安い方が良い、
という事になってしまいます。

日本人の完璧主義はものすごいものがあります。
仕事を完璧にする為には、どんな努力をも厭いません。
これは世界に誇る事のできる日本人の長所です。

ただ、余りにも完璧主義を貫徹しようとするあまり、
消費者が求めている以上の
過剰スペックの商品を作ってしまい、
単機能低価格の中国製品に市場を侵食されている、
というのが、最近の日本製品の現状です。

もちろん、日本人が中国でビジネスをするに当たっては、
モノにしてもサービスにしても、
「日本人の完璧主義が作り出す、
中国人にはマネのできない高い品質」
で勝負しなければ、
すぐにマネをされてしまいますし、
マネをされないまでも、
ちゃんとした利益を取る事ができません。

しかし、中国の消費者は高い品質を
求める様になってきたとはいえ、
ほんの少しの差で、値段が何倍も違う様なら、
安い方を選ぶ人が大部分です。

今後、中国の消費者が更に高い品質を求める様になれば、
日本人の完璧主義が
中国でその威力を発揮するチャンスは
どんどん大きくなっていきます。
しかし、業界によっては、
「えー、安ければこの程度の仕上がりで十分だよ」
という時代がもうしばらく続くのかもしれません。


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