第421回
「教育ママ」、中国で大増殖中

先日、中国の子供たちは、
日本の子供以上に甘やかされて育つ、
というお話をしましたが、
それは一般生活に関してであって、
こと勉強に関しては、
一切の甘えが許されない様です。

一昔前、日本にたくさんいた「教育ママ」が、
今、ここ中国で大増殖を続けています。
彼女たちは、他の家の子供より
賢い子供を育てる為なら、何でもやります。
勉強を一生懸命がんばった子供には、
一般生活で思いっきり甘えさせる。
中国の「教育ママ」は、
こうしたアメとムチを使い分けて、
子供をがんばらせている様です。

中国の子供は大変です。

まず、だいたいが、中国では、
学校が出す宿題の量が異常に多く、
小学生はそれらをこなすだけでも、
いっぱいいっぱいの様です。

私のパートナーの劉さんには、
小学校2年生になる娘がいます。
彼女は学校から帰って来ると、
すぐに宿題に取りかかり、
夕食をはさんでずっと宿題をやっているのですが、
あまりにも量が多く、
夜の10時になっても終わらない事があるそうです。

そこに更に「教育ママ」の指導の下、
補習班(ぶーしーばん)と呼ばれる塾や、
ピアノやバレエなどの習い事に行っていたら、
小学生に自由な時間はほとんどありません。

中国の教育は詰め込み式で、
クリエイティビティ−(創造力)が養われない、
という批判は中国国内にもあるのですが、
「個性」とか、「オンリーワン」とか言いながら、
「ゆとりの教育」を推し進めた結果、
著しい学力の低下を招いて慌てている
どこかの国に比べれば、
将来的に優秀な人材を輩出する可能性は
はるかに高いのではないでしょうか。

最近発行された北京の日本語雑誌に、
中国の子供の生活や意識を特集したものがありました。
それによれば、北京も上海も、
小学5年生の月の小遣いは
過半数が30元(450円)以下、との事です。

いくら中国の物価が安いと言っても、
月30元では、何も買えません。
これはどうも、親が自分の判断で
子供の為にお金を使うのは良いが、
子供が自由に使えるお金を渡しすぎると、
勉強に悪影響を及ぼす、
ろくでもないものを買う可能性があるから、
という事で、親が小遣いを
あまり与えないようにしている様です。

そして、その小遣いの使い道は、「文房具」がトップ。
「今、3,000元(45,000円)あったら、どう使いますか」
という質問に対しては、「貯金」がトップ、だそうです。
ここにも子供の後ろで睨みをきかせる
「教育ママ」の影がちらつきます。

こうした事からも、
中国の「教育ママ」の価値判断基準は全て、
「子供の勉強に有益かどうか」である事が
良く分かります。


←前回記事へ 2005年7月4日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ