第432回
海外の情報が自由に入ってこない国

台湾問題に限らず、中国政府は、
海外からの政治的に問題のある情報が
中国国民に伝わる事を極端に恐れています。

ですので、税関で「政治的煽動文書」を
国内に持ち込ませないだけでなく、
一般の中国人の人には、
海外のテレビも見せない様にしています。

現在、中国で海外のテレビを見る事ができるのは、
ホテルや公寓(ごんゆぃー)と呼ばれる
外国人用の高級アパートメントに限られています。
中国の人たちが住んでいる普通のマンションでは、
海外のテレビを見る事ができません。
勝手にパラボラアンテナを立てて、
海外の衛星放送を受信する事は違法となります。

更に、中国の人たちは自由に海外に行く事ができません。
最近では、海外旅行がブームになり始め、
海外を旅行する中国の人たちも増えてきましたが、
海外旅行は全て旅程が決まっている団体旅行であり、
自由な個人旅行は認められていません。
海外旅行とか、出張とか、
明確な目的と計画のない人には、
パスポートさえ発給されません。

ですから、普通の人が起業をするに当たって、
海外の進んだビジネスモデルを学ぶために視察旅行に行く、
なんて事はできないのです。

中国政府の意図は、
「中国国民を海外からの
政治的に問題のある情報から遠ざける」
という事なのですが、
怒涛の様に流入してくる情報を
問題のあるものとないものに分別する事はほぼ不可能です。
その結果、全ての情報をシャットアウトせざるを得ず、
「中国国民を海外の優れた商品や
ビジネスモデルの情報からも遠ざける」
という状態になってしまっています。

海外の情報が自由に入ってこない、というのは、
私たち外国人が中国で商売をするに当たっては、
非常にありがたい事です。
日本やアメリカの優れた商品や
ビジネスモデルを知っている、というだけで、
その分、私たち外国人は優位に立てるからです。

成熟した市場である日本やアメリカのマーケットで
成功を収めている商品やビジネスモデルをもってすれば、
未成熟の中国マーケットで成功するのは、
さほど難しい事ではない、と思われます。

ただ、中国マーケットが未成熟過ぎて、
「早すぎた」という事になる可能性はあります。
何しろ、中国マーケットは、
乳製品や電器の販売で起業しても、
大企業になれる様な段階ですので、
そんな高度なビジネスモデルは
まだまだ必要ないのかもしれません。


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