第457回
激安価格の民間航空会社「春秋航空」

最近、中国では、「春秋航空」という民間航空会社が、
激安価格のフライトを次々と就航させ、
話題になっています。

その昔、中国の旅客航空会社は
「中国民航」1社しかありませんでした。
それが1988年の民航分割により、
一時は大小20社の航空会社が乱立しましたが、
最近では、吸収合併などにより、
中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空の
大手3社に集約される傾向にあります。

従来、中国の航空会社は、経営母体の差こそあれ、
最終的には国家が所有する国有企業でした。
しかし、今年になって相次いで設立された
「奥凱航空」、「鷹聯航空」、
そして上記の「春秋航空」の3社は、
完全な民間資本の航空会社です。

「春秋航空」の親会社は、
「上海春秋国際旅行社有限公司」という旅行会社。
「旅行会社が作ったミニ航空会社が、
大手航空会社の寡占体制に
安売りで殴り込みをかける」というこの構図。
どこかで見た覚えがあるような、ないような...。

この「春秋航空」、
例えば、上海→南昌(江西省)線の場合、
正規料金が710元(10,650円)のところを、
72%オフの199元(2,985円)でチケットを売ります。

この料金は、他の航空会社より
ダントツに安いのは当たり前としても、
わずか2元(30円)の差ながら、
上海→南昌の寝台列車の料金より
安い値段設定になっている、とのことです。

これは「金持ちは飛行機、貧乏人は列車」という、
従来の中国の常識を覆す画期的な価格設定です。
中国の鉄道を独占する鉄道部も、
いよいよボヤボヤしていられなくなってきました。

但し、「春秋航空」のフライトは安い代わりに、
「機内食サービスなし、飲み物は水だけ」、
「必ずインターネットで予約」、
「預かり荷物は15kgまで」です。
海外の航空会社の低コスト経営を研究して、
サービスを簡素化し、
徹底的にコストを削減することによって、
激安価格を実現しているのです。

日本で航空が自由化されて、
何社かのミニ航空会社が設立されたのは、
ほんの10年前。
中国が社会主義国家であることを考えれば、
この「航空自由化」のスピードは驚異的です。

日本では「航空自由化」後、
大手航空会社が体力にものを言わせて、
安売りで巻き返しを図ったため、
ミニ航空会社はどこも青息吐息になってしまいました。

「春秋航空」は日本のミニ航空会社の
二の舞を演じることなく、
経営を軌道に乗せることができるのか。
今後の「春秋航空」の動向に注目です。


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