第458回
2億人をテレビにくぎ付けにする人気番組

中国のテレビは、
はっきり言ってあまりおもしろくないです。

テレビのチャンネルはやたらと多いのですが、
ほとんどが再放送ドラマのたれ流し。
時々、ニュースやトーク番組があったと思ってみていると、
みんな中国共産党のプロパガンダみたいな内容ばかりです。

そんな中で、最近、
「超級女声(ちゃおじーにゅぃーしょん)」
という番組が話題になっています。

この番組は「湖南衛星テレビ」というテレビ局の
視聴者参加型オーディション番組です。
一般公募に応募した
未来のスターを夢見る女性たちが歌を競い合い、
それを見たテレビの視聴者が
携帯電話のショートメールで投票して
優勝者を決める、というものです。

先月、この「超級女声」の
第2回大会の決勝戦が行われました。
応募者総数約15万人。
その中から勝ち上がってきた3人が決勝戦に進出。
視聴者のショートメール投票の結果、
352万票を獲得した李宇春さんという21歳の女性が、
優勝したそうです。

ショートメール投票の総数は3人合計で815万票。
番組の視聴者数は2億人に達したそうです。
2億人ですよ、2億人!
こんな番組でコマーシャルを流したら、
お客さんが殺到して、大変なことになりそうです。

2億人がテレビにくぎ付けになるほどの人気の秘密は、
「筋書きのないドラマ」にあるようです。
従来の中国のテレビ番組は、
シナリオ通りに進行するものばかりでした。
しかし、この「超級女声」は、
視聴者のショートメール投票次第で、
どんな結末を迎えるか全くわからない、
というところが受けているようです。

また、中国には以前から
オーディション番組はあったようなのですが、
参加者には出身や資格などの厳しい条件が課せられ、
優勝者も専門家が密室で決めていたそうです。
それがこの「超級女声」では、
希望すれば誰でも参加でき、
優勝者も視聴者がショートメール投票で決めます。
こうした非常にオープンでフェアなやり方も
人気の秘密のようです。

コネとか、カネとか、身分とか、経歴とか、
そういったものが全くなくても、
実力があればスターになれるかもしれない。
この「超級女声」が放つ「希望の匂い」が、
中国の老百姓(らおばいしん、一般大衆)を
引き付けているのかもしれません。


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