第484回
マンション耐震強度偽装問題

最近、日本では、マンションなどの
耐震強度の偽装が問題となっています。

通常、マンションなどを設計する際には、
建築士が構造計算をして、
大きな地震が来ても
倒壊しないようにするそうなのですが、
問題となっている建築士は、
仕事を取るために、
構造計算書を偽造していた、というのです。

このため、この建築士が構造計算した一部のマンションは、
震度5強の地震が来ただけで、
倒壊する恐れがある、とのことです。

なにも知らずにこうした欠陥マンションを
買って住んでいた人たちは、
自分たちの命が危険にさらされていたわけですから、
マンション購入代金を全額返してもらっても、
腹の虫が収まらないのではないでしょうか。

さて、一方の中国。
ここ中国には、地震が少ないのをよいことに、
構造計算自体していないのではないか、
と思われるマンションがたくさんあります。

確かに、中国は大陸だけあって、
地震が非常に少ないです。
私は北京に住んでもうすぐ10年になりますが、
この10年間で体感できる地震があったのは、
たったの2回だけです。

そんなことで、北京のマンションは、
10階建てぐらいまではレンガ、
30階建てぐらいまでは鉄筋コンクリートで
作られています。
日本のマンションのように鉄骨が使われているのは、
30階建て以上の高層ビルだけです。

こんなですので、
北京では震度5強どころか、
震度3ぐらいの普通の地震でも、
倒壊してしまうマンションが
たくさんありそうです。

「来るか来ないかわからない地震に備えて、
高いコストを払って耐震強度を上げるなんて、
ものすごく無駄じゃないですか」。
うーん、そう言われてみると、
そんな気もしてくるのですが...。

破竹の勢いで経済成長を続ける中国。
しかし、この急速な経済成長は、
「天災は起きない」という前提の下、
日本のような膨大な防災コストを
かけていないからこそ、
実現できている、という面もあります。

この成長のスピードは、
一見、力強く見えますが、
何か一つ天災が起こるだけで、
総崩れになってしまうかもしれない、
という脆弱性を秘めているのです。


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