第485回
3年でボロボロになるマンション

中国のマンションは、
建築士がきちんと構造計算をしていたとしても、
まだまだ安心はできません。
建築主、設計・施工業者、建材納入業者などなど、
全ての関係者が、コストを落として利益率を上げるために、
様々な手抜き工事をする可能性があるからです。

「中国のセメント会社は、コンクリートを作るときに、
利益率を上げるために砂利や砂をたくさん混ぜるから、
中国のマンションは3年も経つと、
ボロボロになっちゃうんですよ」。
以前、日本のセメント会社の駐在員の方から、
こういうお話を聞きました。

なにしろ、表面だけきれいに仕上げて、
高い値段で売ってしまえば、
あとは野となれ山となれ、という感じです。

ですから、中国の人たちがマンションを買う場合には、
「建築主が信用できる会社かどうか」に異常にこだわります。
欠陥マンションを売るだけ売って、
カネを持って逃げるような建築主では困るのです。

もちろん、中国にもきちんと建設された、
質のよいマンションもたくさんあると思います。
しかし、私たち素人には、
そのマンションが100年もつのか、
3年でボロボロになってしまうのか、
新築の状態で判断することは、
非常に難しいと思われます。

そもそも、中国のマンションに土地はついていません。
中国では土地は国家のものですので、
土地は使用権を買うことしかできません。

日本でいうところの「借地権付き建物」ですので、
中国のマンションは「建物」部分の価値の比重が
非常に大きいのですが、その「建物」が欠陥住宅では、
資産としての価値がほとんどなくなってしまいます。

最近、日本では、
人民元の更なる切り上げを狙って、
人民元建ての資産を増やすべく、
中国のマンションを買うことが流行っているようです。

しかし、マンションも気を付けて選ばないと、
すぐにボロボロになって、
人民元の切り上げより、
はるかに早いスピードで資産価値が落ちてしまう、
なんていうことにもなりかねません。

それでも、どうしても中国の不動産に投資したい、
という人は、邱さんがおっしゃる通り、
直接、中国の不動産に投資するのではなく、
中国の不動産に投資している不動産会社の株を買う方が、
安全なのではないでしょうか。


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