第486回
「鳥インフルエンザ狂想曲」

中国でまた、鳥インフルエンザの感染が
広がりを見せています。

今のところ、北京市での感染例は確認されていませんが、
SARSや前回の鳥インフルエンザの蔓延で懲りた北京の人たちは、
政府の発表を全く信じていません。

このため、公式の発表では、
「中国の鳥インフルエンザによる死者は2名」とされていますが、
市民の間では「本当はすでに300人の死者がでている」
などといううわさが流れています。

当局は当初、こうしたうわさを黙殺していましたが、
あまりにうわさが大きく広がってきたため、
「隠蔽はない」という発表をせざるを得なくなりました。

「政府なんか信じられない。自分の命は自分で守る」
ということで、北京では
「鳥インフルエンザ狂想曲」とも言える、
過剰反応が市民の間に広がっています。

まず、当局が「北京の鶏は安全だ」
と言っているにもかかわらず、
鶏肉を食べる人がめっきり減りました。
レストランでも、不人気のため、
鶏料理を出さない店が増えています。

また、インフルエンザの特効薬と言われる
「タミフル」の成分が、
香辛料の八角(ぱーじゃお)に含まれる、
といううわさが流れ、市民が八角を買いに走り、
八角の価格がこの1ヶ月で
3倍以上に跳ね上がったそうです。

八角には確かに「タミフル」の成分が
含まれているようなのですが、
八角をいくら食べても
鳥インフルエンザの予防にはならず、
逆に、食べ過ぎると中毒を起こすそうです。

このため、中国各紙は
「八角は鳥インフルエンザには効かない」
と注意喚起していますが、
八角は相変わらず品薄状態が続いているそうです。

中には「ニセ八角を掴まされた」
などという人まで出てきています。
儲かると思ったら、
なんでもニセモノをつくりますな、
この国の人たちは。

八角の他にも、「ビール療法」や
「緑豆スープ療法」など、
怪しげな鳥インフルエンザ予防法が、
巷に広がっているそうです。

中国の人たちが
「鳥インフルエンザ狂想曲」にあわせて、
ドタバタ喜劇のように右往左往するのも、
中国政府が1度ならず2度までも、
国民の安全より国家のメンツを優先して、
疫病を国中に蔓延させたためです。

中国政府はSARSと
前回の鳥インフルエンザの時の教訓を生かして、
全中国人民の信頼を回復することができるのか。

今回、鳥インフルエンザの蔓延を防げるかどうかは、
中国共産党にとって、
安定した一党独裁政権を維持できるかどうかの
正念場になるかもしれません。


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