第518回
60歳、ひとりぼっち...。

鬼に笑われてしまうかもしれませんが、
来年はいよいよ2007年。
日本で1947〜49年生まれの、
いわゆる団塊の世代の大量定年退職が始まる年です。

ちまたでは「2007年問題」などと言われ、
属人的な技術の流失や、
年金制度の破綻が懸念されているようです。

私、個人的には、働きたい人は
いくつになっても働いて頂いて、
その生み出す付加価値に見合った
お給料をあげればよいと思うのですが、
どうも、世の中はそういうふうにはできておらず、
60歳になったら、元気だろうが何だろうが、
定年退職しなければいけないきまりのようです。

今まで、会社人間でバリバリ働いてきた人ほど、
定年退職で肩書きや仕事がなくなるのは、
つらいことだと思います。

かくいう私も、
「丸紅の看板なしの、自分の本当の実力を試してみたい」
などと生意気なことを言って起業してみたものの、
いざ、本当に「丸紅の柳田」の「丸紅の」がなくなって、
ただの「柳田」になった時には、
正直言って、精神的にきつかったです。

「丸紅の柳田」35歳、
丸紅北京支店金属資源部副部長、
石炭貿易に従事、年収1,150万円、
だったのが、一夜にして、
ただの「柳田」35歳、北京在住、
仕事なし、収入ゼロ、
に変わったのです。

この落差!
アイデンティティーの喪失加減!
60歳でこれをやられたら、
私は精神的に耐えられないかもしれません。

更に、追い討ちをかけるように、
来年の4月からは、年金分割の制度が始まります。

年金分割とは、
結婚している期間に夫が支払った年金保険料は
夫婦が共同で収めたものとみなして、
専業主婦をしていた妻が離婚した場合でも、
夫並みの年金をもらえるようにする、
というものです。

このため、団塊世代の妻が
夫の定年退職を機に三行半をつきつける、という、
いわゆる「熟年離婚」が
大量に発生することが予想されています。

肩書きなし、仕事もなし、収入はわずかな年金のみ。
妻とは離婚、子供は既に独立。
もう誰からも必要とされない。

60歳、ひとりぼっち...。

これは精神的にかなりきつそうです。

ただ、そんな日本のお父さんを必要としている人が、
中国にはたくさんいます。
日本ではひとりぼっちになってしまった
団塊世代のお父さんも、
中国に来れば引く手あまた、
なんていうこともあり得るのです。


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2006年2月13日(月)

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