第520回
日本活力門醜聞

衝撃的な堀江貴文元社長の逮捕から約1ヶ月。
「ライブドア事件」は、中国でも
「日本活力門醜聞(りーべんほーりーめんちょーうぇん、
日本ライブドアスキャンダル)」
として各メディアで報道されています。

ライブドアは中国語では「活力門」。
ライブが「活力」で、ドアが「門」、
2つ合わせて「活力門」です。

マイクロが「微」で、ソフトが「軟」、
2つ合わせて微軟(うぇいるあん)、
と呼ばれているマイクロソフトと同じく、
英語の意味をそのまま漢字にする方式が採用されています。

更に、「活力門」は中国語読みすると「ほーりーめん」。
なんとなく「ホリエモン」に似ています。
堀江元社長が日本で「ホリエモン」と呼ばれているのを
中国の人たちが知っているとは思えないのですが、
いつもながら絶妙のネーミングです。

さて、「ライブドア事件」の中国での報道のされ方ですが、
比較的客観的に、事実が淡々と報道されています。

お硬い内容で知られる中国共産党機関紙・人民日報も、
「ライブドア事件」を取り上げています。
曰く、「「錬金術」と言われる手法を使って
会社を急激に成長させた堀江元社長は
「日本経済産業界の風雲児」と呼ばれていたが、
2001年にアメリカで起きたエンロンの
不正会計事件の「日本版」とも言える今回の詐欺的行為で、
株式市場に対する株主の信頼を低下させ、
バブル経済の後遺症から一刻も早く抜け出したい日本経済に、
暗雲を漂わせた」とのことです。

なんという冷静な報道。

人民日報のことなので、
「ほーら、やっぱり資本主義はダメなんだよー」
という論調で、鬼の首でもとったかのように
資本主義の欠点をあげつらい、
中国政府が推し進める社会主義市場経済の優位性を、
国民にアピールでもするかと思ったのですが、
あまりの冷静さに拍子抜けです。
人民日報も中国共産党の
プロパガンダとしての役割から
脱皮しつつあるのかもしれません。

ただ、やはり、中には
中国でも増え続けている30代のIT長者への批判や、
中国国内にはびこる「拝金主義」に
警鐘を鳴らすような報道もあるようです。

同じ金額を稼ぐなら、
コツコツと地道に努力して稼ぐ勤勉さより、
楽してドカンと儲ける頭の良さが賞賛される中国。

日本に比べれば、
堀江元社長の「稼ぐが勝ち」という考え方が
受け入れられやすい環境にはあるのですが、
そうした考え方が、毛主席の
「向前看(しゃんちぇんかん、前に向かって進もう)」ならぬ、
「向銭看(しゃんちぇんかん、カネに向かって進もう)」
を信条とする「拝金主義」の人たちを
大増殖させたことも事実です。

中国の「向銭看」の人たちは、
隣国の落ちた偶像をどう見るのでしょうか。


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2006年2月17日(金)

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