第530回
ニセモノブランド品根絶のために

「プロレタリア階級」の人たちと並ぶ、
中国のニセモノブランド品の上得意は、
日本人を含む外国人です。
北京のニセモノ市場、と言われるところに行くと、
いつでもたくさんの外国人が買物をしています。

日本人はみなさん、それなりの収入がありますので、
中国の「中産階級」や「プロレタリア階級」の人たちと違って、
ニセモノブランド品を持っていても、
「それニセモノだろ」と見破られることはありません。

そのせいか、日本から北京に来る当社のお客様の中にも
「ニセモノ市場に連れて行ってほしい」という方が
ときどきいらっしゃいます。
中には、ニセモノグッチの財布を十数個買って、
部下のOLや、飲み屋の女の子に配る、
という方もいらっしゃいました。

部長、「これでオレもモテモテだ」
と思っていらっしゃるかもしれませんが、
それって、ものすごい逆効果だと思いますよ。

ただ、今後は、北京でニセモノブランド品を買っても、
日本に持って帰れなくなる可能性が大きくなってきました。

従来、日本では、販売目的のニセモノブランド品の輸入は
処罰の対象となっていましたが、
所有目的の輸入に関しては、大目に見られてきました。

しかし、小泉首相が本部長を務める、
政府の「知的財産戦略本部」は先月の会合で、
ニセモノブランド品の国内流入を防ぐために、
販売目的に限っていた
ニセモノブランド品輸入に対する処罰対象を
所有目的にも拡大することを決定、
6月に政府が策定する今年の「知的財産推進計画」に
盛り込むこととなりました。

この政策が実施されれば、
部下のOLや飲み屋の女の子に配るための
ニセモノグッチの財布十数個はもとより、
出張先でYシャツが足りなくなってしまい、
ニセモノ市場に行ってやむなく買った
ニセモノアルマーニのYシャツを着て帰っても、
税関で見つかれば、処罰の対象となってしまうのです。

これにより、
海外でニセモノブランド品を買う日本人は、
かなり減るのではないでしょうか。

今まで、売る側を取り締まることに
重点が置かれてきた中国のニセモノ対策。
しかし、買う人がいるから、売る人がいるわけであって、
買う人がいなくならない限り、売る人もいなくなりません。

そういう意味では、
ニセモノブランド品根絶のためには、
売る人よりも買う人を取り締まった方が、
効果が高いのかもしれません。


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2006年3月13日(月)

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