第531回
優秀な店長人材の確保

中国は今、「世界の工場」から、
「地球上に残された最大且つ最後の巨大市場」
に変貌しつつあります。
これに伴い、中国進出をする日本企業の業種も、
従来の製造業中心から、
卸小売業や、サービス業などに多様化しつつあります。

卸小売業や、サービス業は、製造業と違って、
業容を拡大するためには、
店舗をたくさん作る必要があります。
そこで必ずぶつかるのが、
優秀な店長人材確保の問題です。

優秀な店長人材とは、
本社の目が届かないのをよいことに、
お店のお金をちょろまかしたりしない、とか、
店は従業員に任せて、
自分は毎日重役出勤したりしない、とか、
そういう社会人として当たり前のことだけでなく、
従業員の管理、育成から、
店舗の販売戦略策定、財務関係のチェックに至るまで、
「一国一城の主」としての資質が求められます。

日本ならば、そうした優秀な店長人材が、
サラリーマンとして一生懸命働いてくれますので、
急速な店舗展開が可能なのですが、
中国では、ちょっと優秀な人材はすぐに独立して、
ホンモノの「一国一城の主」になってしまいますので、
サラリーマンで店長のできる人材を探すのは
至難の業です。

また、サラリーマン店長だと、
お店が儲かっても儲からなくても、
もらえる給料には大差はありませんので、
いかに楽して給料をもらうか、
ということばかり考え始めます。
話の大きさは違いますが、基本的には、
「働いても働かなくても給料同じ」の、
社会主義国家の経済が発展しないのと同じ原理です。

この優秀な店長人材確保の問題。
どのように解決すればよいのでしょうか。

この問題を解決する方法の一つは、
フランチャイズチェーンの展開です。
フランチャイズチェーンとは、
チェーン本部が「一国一城の主」である
独立事業主と加盟契約を結び、
チェーンのブランドやノウハウを提供する代わりに、
加盟店からは加盟金や、
毎月の上納金であるロイヤルティーを徴収する、
というものです。

この方式なら、日本企業は、
優秀なホンモノの「一国一城の主」人材を
確保することができますし、
個人事業主は、本部に一定のロイヤルティーを支払えば、
残りは全て自分の利益になりますので、
サラリーマン店長とは比べものにならないぐらい、
しゃかりきになって働きます。

日本企業は、提供するモノやサービスの質を保ったり、
知識やノウハウを自社の中に蓄積するために、
「自前主義」にこだわる会社が多いように思いますが、
こと中国に関しては、
優秀な「一国一城の主」をいかに自社の味方に付けるかが、
ビジネス成功のポイントになってくるのではないでしょうか。


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2006年3月15日(水)

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