第564回
「オレが万引きすると思ってんだろ!」

先日、北京市内に新たに開店した
スーパーマーケットに買物に行って、
そのセキュリティーの厳しさに
ビックリしてしまいました。

まず、カバンは店の外にある
無料のロッカーに預けないと、
店に入れてもらえません。
カバンを持って店に入ろうとすると、
入り口に立っている警備員に押し戻されます。
これは、カバンの中に商品を入れて、
そのまま持ち去られるのを防ぐためです。

店内に入ると、
たくさんの警備員が巡回しており、
常に、客の行動に目を光らせています。

そして、レジで会計を済ませて店を出るときには、
警備員が買物袋の中のものと、
レシートの項目を照らし合わせます。
会計を済ませていない商品が、
袋に入れられていないか確認するのです。

そして、その確認が終わると、
警備員がレシートに確認のハンコを押します。
これは、別の人間がそのレシートを持って
もう一度店内に入り、同じものを袋に入れて
「ちゃんとおカネ払ったよ!ほら、レシート!」
と主張しながら、持ち出そうとするのを
防ぐための措置です。

「あんたたち、
オレが万引きすると思ってんだろ!」。

思わずそう言いたくなるような
「性悪説」に基づいたセキュリティーシステムです。

こんなこと日本でやったら、
お客さんからクレームが殺到しそうですが、
お店に来ている中国人のお客さんたちは、
文句も言わずに、言われた通りにしています。
中国ではこれが普通なんですね。

こんな国から日本へ行くと、
日本のお店はいかにも無防備です。
お店によっては、店員の目が届かない、
店の外に商品を陳列したりしています。
中国でそんなことをしたら、
ものの1分で全ての商品が
持ち去られてしまいそうですが、
日本人のお客さんは、店の外の商品を持って、
わざわざ店の中に入って、
お会計を済ませて帰るのです。

なんだかんだ言っても、
やっぱり律儀ですな、日本人は。

最近、日本では、
中国人の犯罪が増えているそうですが、
この中国のスーパーのあからさまな
セキュリティーの厳しさと比べると、
日本の無防備さは
「どうぞご自由にお持ちください」と
言わんばかりに見えるのでしょう。

治安が悪化しつつある日本。
そんな日本が、治安悪化先進国である中国の、
「性悪説」に基づいた
セキュリティーシステムに学ぶところは、
今後、ますます多くなっていくのではないでしょうか。


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2006年5月31日(水)

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