第568回
敗因は圧倒的な信用力のなさ

「中国駐在員事務所代行サービス」で起業しよう、
と思った背景には、丸紅時代に感じた
日本企業の高コスト体質がありました。

これは丸紅に限らず、
他の会社も同じだと思うのですが、
日本企業は中国の駐在員事務所や現地法人に
多額のコストをかけています。

中国事業でその高いコストを
補って余りあるだけの利益が出ていれば、
全く問題はないのですが、
高いコストをカバーするために、
一発でドカンと儲かる大物狙いをせざるを得ず、
あまたある小さなビジネスチャンスなどには
かまっていられない、
というのもまた事実だと思います。

それならば、商社の北京支店の機能を
スッポリ抜き出して会社組織にし、
低コストで運営をすることにより、
小さなビジネスチャンスの実現をサポートすれば、
日本の中小企業を中心に需要はあるはずだ、
というのが私の読みでした。

しかし、その読みは見事にはずれ、
起業後半年以上、開店休業状態。
その間にも、ものすごい勢いで資本金は減っていき、
このままだと、資金はあと1年ももたない。
そう考えると、眠れず、食べれずで、
最初の3ヶ月で7kgも痩せてしまった、
というのは以前お話した通りです。

敗因は、圧倒的な信用力のなさ。
丸紅にいる時には、「丸紅の柳田です」
と言って名刺を渡すだけで、
すぐに商談に入ることができたのですが、
「北京華通の柳田」では、
いつ設立した会社で、どんな業務内容で、
従業員が何人いて、どんな実績があって、
経営者はどんな経歴で、
ということを延々と説明しなければならず、
それだけ説明しても、なおかつ、
全く信用してもらえませんでした。

ただ、私は今でも、
この「中国駐在員事務所代行サービス」は、
スピードとコストの面で、
中国でビジネスをやろうとしている日本企業にとって、
非常にメリットが大きいサービスであると
確信しています。
なにしろ、当社と契約するだけで、もうその日から、
優秀な人材と事務所と法人格と
人脈と中国ビジネスに関する知識やノウハウが
一挙に手に入るわけですから...。

信用、というのは、
一夜にして形成されるものではありません。

今では誰もがその名を知っている丸紅も、
看板で仕事を取れるようになるまでには、
何十年にもわたる先人たちの
実績の積み重ねがあったはずです。

当社も、今、目の前にある仕事を
きっちりこなして実績を積み、
やがては、看板で仕事を取れるような会社に
なっていきたいと思います。


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2006年6月9日(金)

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