第571回
「孫子の兵法」

中国で「孫子(すんず)の
兵法(ぴんふぁー)」が見直されています。

先月、中国人民解放軍は、
傘下の研究機関「軍事科学院」で
戦争理論などを研究する専門家たちが編纂した
「孫子兵法軍官読本」を、
軍の正式な教練教材として
採用することを発表しました。

「孫子の兵法」は
春秋時代(紀元前770-同403)の
兵法家・孫子が記したもので、
春秋時代までの戦争を総括し、
軍事理論をまとめたものです。

2,500年も前の軍事理論が、
近代化された現代の戦争の役に立つのか、
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
「孫子の兵法」に書かれているのは、
ものごとの本質の部分。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」や、
「戦わずして勝つ」という考え方は、
現代の戦争でも十分に通用するのでしょう。

今年4月には、訪米した
胡錦涛(ふーじんたお)国家主席が、
ブッシュ大統領に「孫子の兵法」を贈って
話題になりました。

中国政府が外国の賓客に贈る書籍は、
中国の伝統文化や、現代の動向を象徴したものが
選ばれるのが一般的であり、
兵法書が贈られるのは異例なのだそうです。

「孫子の兵法」を贈った胡錦涛国家主席の意図は、
いろいろな憶測を呼んでいますが、
私はこのニュースを聞いたときに、
「戦わずして勝つのが最上策である」
という考え方が根本原理である
「孫子の兵法」を贈ることにより、
世界中のイスラム教徒を敵に回して、
戦争をしかけまくっているアメリカを、
痛烈に批判しているのではないか、と思いました。

「あんた最近、
力にもの言わせて暴れまくっとるけど、
これ読んで、よう勉強してや」。

ええ根性しとりまんな、胡錦涛はんも...。

「孫子の兵法」は戦争にとどまらず、
ビジネスや人間関係にも
応用ができると言われています。
このため、日本でもたくさんの
「孫子の兵法」に関する本が出版されており、
アマゾンで「孫子」、「兵法」などの
キーワードで検索をすると、
何百冊もの本が出てきます。

「孫子の兵法」、
この機会に読み直してみてはいかがでしょうか。


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2006年6月16日(金)

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