第573回
北京日本人会の存在意義

私、今年度、北京日本人会の副会長を、
務めさせて頂くことになりました。

私が丸紅の北京支店で働いている時には、
社内に日本人駐在員が20人近くもおり、
飲みに行くのでも、遊びに行くのでも、
ほとんど社内の人たちと行っていましたので、
日本人会の活動には、全く興味がありませんでした。

しかし、起業後、日本人と接する機会が極端に減り、
あまりの寂しさに、日本人会の活動に
積極的に参加していたのですが、それがどうも、
「柳田はボランティア活動が好きそうだ」
ということになり、
今回の大抜擢につながったようです。

北京日本人会(※1)は、
北京に住む日本人の親睦や福祉の増進、
及び、日中両国の友好善隣を目的に
1989年に設立されました。
会員数は2,000人弱。
北京に住む日本人が約10,000人と言われていますので、
組織率は20%前後、といったところでしょうか。

もともと、北京日本人会は、
1989年の天安門事件の後に
「北京に住む全ての日本人に、
緊急情報を流せるような組織が必要であろう」
ということで作られました。

当時の北京は娯楽が少なく、
衛生状態も今ほど良くありませんでしたので、
北京日本人会が企画するイベントや、
発信する医療情報などが非常に貴重であり、
北京日本人会の存在価値は
非常に大きかったようです。

しかし、その後北京は、
娯楽も増え、衛生状態も良くなり、
そうした情報を日本語で伝える無料の日本語雑誌が
毎月4誌も発行されるようになってきたため、
「年間数百元(数千円)の会費を払って
日本人会に入らなくても何も困ることはない」
と考える人が増え、
北京に住む日本人の数は
毎年増加しているのにもかかわらず、
北京日本人会の会員数は
毎年減少するようになってしまいました。

この事実は、
北京はもう、日本人同士で団結しなくても、
十分、楽しく安全に暮らしていける街になった、
ということを表しているのです。

※1北京日本人会 http://www.arp-nt.co.jp/beijing/


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2006年6月21日(水)

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