第590回
雇われ店長とオーナー店長

中国のビジネスホテルチェーン大手「如家」は、
中国全土に100店以上のチェーンホテルを持ち、
毎月数店のペースで新たなホテルを開業していますが、
これは「如家」が
フランチャイズチェーンだからできることです。

まず、これだけのホテルを自前で開業したら、
膨大な資金が必要となります。
「如家」では、客室数100のホテルを開業するのに、
内装費、設備費で450万元(6,750万円)の
初期投資を必要としますが、
これを100店も開業したら、
4.5億元(67.5億円)もの
資金が必要となってしまいます。

これに対し、フランチャイズチェーンの場合は、
逆に、1店開業するたびに、
加盟金が30万元(450万円)入ってきますので、
100店開業すれば
3,000万元(4.5億円)の収入になります。
最初にブランドさえ確立してしまえば、
後の資金繰りは非常に楽なはずです。

また、人材的にも
自前でチェーン展開をするのは無理があります。
今の中国で、ホテルを経営できる人材を
100人も採用することは至難の業です。
しかし、ホテルを経営できる
個人企業の経営者を100人集めることは、
それほど難しいことではありません。

中国においては、雇われ店長とオーナー店長では、
店の経営に対する思い入れが全く違います。

日本人の場合、雇われ店長でも、
お店のために粉骨砕身がんばりますが、
中国の雇われ店長は
「いかに自分が儲かるか」ということばかりを考え、
店の利益などどうでもよい、
という人が多いように思います。

その点、オーナー店長は、
お店の利益=自分の利益、ですので、
お店の利益を増やすために必死になって働くのです。

もちろん、中国の雇われ店長でも、
お店の利益が自分の収入に
直結するような給与体系にすれば、
必死になって働くのでしょう。

しかし、中国では自分で稼げる人材は、
さっさと独立して個人企業のオーナー社長に
なってしまっていますので、
優秀な人材は、求職者から探すより、
オーナー社長から探すほうが、集めやすいのです。


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2006年7月31日(月)

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