第602回
北京に恵みの雨が降る

今年の北京の夏は、雨が非常に多かったです。
特に7月は、日本の夏のように、
毎日夕方になると雷が鳴りだし、
激しい夕立になりました。

乾燥気候の北京は、
雨が降らないことを前提に街が作られており、
日本のような排水溝もありませんので、
ちょっと雨が降るとすぐに街中、
大洪水になってしまいます。

こうなると、普段、
路線バスで通勤している人たちも、
「雨のときぐらいは贅沢しちゃおう」
ということで、
タクシーで家に帰りますので、
空車のタクシーが全くなくなります。

先日も私、
外出先で夕立に遭ってしまいました。
仕事は午後6時に終わったのですが、
空車のタクシーが見つからず、
傘が全く役に立たないほどの
どしゃぶりの雨の中をさまよい歩き、
ようやくタクシーに乗れたのが8時半。

私は普段「車はコストが高いし、
駐車する場所にも困るので、
移動はタクシーで十分」と考えていたのですが、
このときばかりは
「絶対、車買おう!」と思いました。

このように北京の都市機能を
マヒさせてしまう雨ですが、
砂漠化が進み、万年水不足の北京にとっては、
雨が降ることは非常によいことです。

北京では毎年夏になると、
水不足を解消するために、
硝酸銀のロケットを何発も打ち上げ、
人工雨を降らせていたのですが、
今年は、毎日夕方になると勝手に降ってくれるので、
そんな必要もなさそうです。

その一方で、
中国内陸部の重慶市や四川省では、
50年来の干ばつで、1,000万人以上が
飲料水不足に見舞われているそうです。
農作物への被害も甚大で、
直接的な経済損失が
重慶市と四川省あわせて、
100億元(1,500億円)近くに達している、
とのことです。

また、浙江省、福建省など
中国中南部の沿岸地域では、
7月以降相次いで台風が上陸。
台風による豪雨の被害で
多数の死者が出ているそうです。

日本もそうですが、
中国のここ数年の気象も明らかに異常です。
異常気象で北京に雨が降り、砂漠化が止まれば、
それはそれで喜ばしいことなのですが、
その異常気象のしわ寄せが中国の他の地域に及んで、
大きな被害が出ていることを考えると、
単純に喜んでもいられないようです。


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2006年8月28日(月)

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