第608回
「わいろ」王国、中国

先日、天津の南開大学などが中国の企業関係者に対して、
「わいろ」についてのアンケート調査を行いました。

これによれば、商取引の際、
リベート、袖の下、接待、贈り物が
「日常的に行われている」と回答した人は全体の94%。
そして、大多数の人が、
政府当局者が許可証発給や監督・検査に当たって
「わいろ」を受け取るのは、非常にありふれたことだ、
と答えたそうです。

また、「わいろ」を渡す企業側も、
77%が「わいろ」を「有効な営業手段」と考えており、
「わいろ」は取引先や監督官庁との関係を
スムースにする潤滑油、とみなされていることが
浮き彫りになりました。

現在、中国政府は
「わいろ」の取り締まりを強化していますが、
「わいろ」を根絶できる、と見ている人はわずか9%、
約60%は「大きな効果は上げられない」と回答したそうです。

日本でも贈収賄事件の報道は、絶えることがありませんが、
中国の状況はもっとひどそうです。
企業関係者の94%が「わいろ」の授受が
「日常的に行われている」と答えているのを見ると、
「わいろ」なしでは中国ビジネスはできないのではないか、
とも思えてきます。

「わいろ」王国、中国。

そんな国で商売をしている日本企業は、
「コンプライアンス」に抵触する、
ということで、中国企業のように
「わいろ」という手を使うことができません。

特に、大企業の場合は、
「中国の政府高官に「わいろ」を渡していた」
なんていうことをスッパ抜かれたら、
中国法人だけでなく、日本の本社も
大きなダメージを受ける可能性がありますので、
「わいろ」が「有効な営業手段」である、
などということは口が裂けても言えません。

そんな手足を縛られたような状態でも、
「わいろ」を使いまくる
地元中国企業との競争に打ち勝ち、
きちんと利益を上げている日本企業は
たくさんあります。

こうした日本企業を見ていると、
「なんだかんだ言っても、
やっぱり日本のモノやサービスには
まだまだ競争力があるんだなぁ」と思います。

「わいろ」で商売をしている会社は、
人間関係の維持にばかり労力を使い、
モノやサービスの競争力を磨くことを怠ります。
そうした中国企業には、実力のみで
正々堂々と勝負している日本企業を、
是非、見習ってほしいものだと思います。


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2006年9月11日(月)

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