第618回
北京の「アリとキリギリス」

北京には社会に出てから
中国語を勉強するために留学してくる
社会人留学生がたくさんいますが、
これらの人たちは2種類に分けることができます。

一つ目は、日本で勤めていた会社を退職して、
自費で北京に留学して、中国語の勉強をしている人。
こうした人たちは、日本での全てを捨てて、
背水の陣で北京に来ていますし、
留学費用も自腹ですので、
学校の中国語の授業は、
それはもう必死になって受けます。

学校の授業が終わると、
日本語を勉強したい中国人の学生をみつけて
「互相学習(ふーしゃんしゅえしー、相互学習)」
をします。
中国語と日本語を半分ぐらいづつ使って会話をし、
お互いにそれぞれの言語の会話力を磨きます。

そして夜は、学校近くのボロアパートに帰って、
今日の復習や明日の予習をします。
1日中、ほとんど日本人と接することなく、
まさに中国語漬けの毎日を送っているのです。

二つ目は企業派遣の留学生です。
彼らは留学終了後の身分が保証されており、
且つ、留学費用も会社が負担してくれます。
もちろん、企業派遣の留学生でも、
まじめに勉強している人はたくさんいるのですが、
中には、会社の厚遇に甘えて、
学生気分をエンジョイしてしまう人もいるようです。

以前聞いた話では、
そうした学生気分の企業派遣留学生は、
毎日、夜遅くまで飲み歩いているので、
朝、学校に行っても意識が朦朧としているそうです。

そして、午前中で授業が終わると、
企業派遣の日本人留学生同士で、
街中にあるゴルフ場に行き9ホールラウンドします。
ゴルフの後は、みんなでマッサージ店に行き
マッサージを受けます。

夜は日本人同士で日本料理を食べた後、
カラオケクラブに行って午前2時まで飲みます。
そして、タクシーで駐在員と同じ
高級外国人用マンションに帰って寝ます。

留学費用や高級外国人用マンションの家賃は、
全て会社が負担してくれますし、
留学中も給料が支払われ続けますので、
こんな生活を毎日続けていても、
お金がなくなることはないのです。

こうして北京の社会人留学生を比較すると、
イソップ童話の「アリとキリギリス」を
思い出します。

彼らが将来、どのような道を
歩いていくのかはわかりませんが、
北京のキリギリスには、
寒い冬が来たときに泣かないよう、
気を付けてほしいものです。


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2006年10月4日(水)

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