第630回
「金持ち=気前が良い」とは限らない

今、北京で起業する日本人が増えています。
業種としては一番多いのが
日本料理店をはじめとするレストラン、
そしてその次が美容院・エステという感じです。

小規模のお店なら初期投資額が比較的少なくて済むこと、
現金商売なので取りっぱぐれがないこと、
アイデアだけではなくて「手に職」系の仕事なので、
中国の人たちが経営するお店との差別化がしやすいこと。
これらがこうした業種で起業する日本人を増加させている
理由なのではないかと思われます。

日本人経営のレストランや美容院は、
最初は北京に住む日本人をターゲットにします。
しかし、北京に住む日本人は10,000人程度。
こんな小さなマーケットだけでは、
とうてい食ってはいけません。
となると、いかに中国人のお客さんに
たくさん来てもらうか、ということが
営業戦略上の最重要課題となります。

北京にはレストランも美容院も星の数ほどあります。
一般的な北京のレストランや美容院の客単価は、
どちらも20-30元(300-450円)です。
そんな中で、私たち日本人が
地元の人たちが経営するお店と同じ土俵で戦っても
勝ち目はありません。
熾烈な競争を何とか勝ち抜いて
運良く生き残ることができたとしても、
手元にはいくらのおカネも残りません。

日本人が中国で起業をするに当たっては、
金持ちをターゲットに値段を高めに設定して、
その値段に見合う付加価値の高いモノやサービスを
提供する必要があるのです。

ただ、中国にも金持ちが増えてきている、といっても
「金持ち=気前が良い」とは限りません。
むしろ、人々が豊かになり
自腹で消費をするようになってきたため、
値段の高いモノやサービスに対して求める対価の要求は、
以前より厳しくなっているのではないか、と思います。

これは日本人も同じですが、
人は会社のカネだと思うと
「どうせ会社が払うんだから」
ということで気前が良くなります。
しかし、自腹で払うことになると、
急に財布の紐がきつくなります。

そうした自腹で払う人たちの
財布の紐をいかに緩ませるか。
これが今後、私たち日本人が
中国マーケットを開拓していく上での
キーポイントになるのではないでしょうか。


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2006年11月1日(水)

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