第633回
中国の結婚マーケット

今年は旧暦のうるう月の関係で、
立春が2回あるそうです。
この「双春(しゅあんちゅん)」の年は
えらく縁起が良いそうで、
中国では今年、結婚する人が大幅に増加、
北京でも上海でも10万組を超えるカップルが
結婚式を挙げることが予想されています。

これでまず潤っているのが、結婚写真業界です。
婚紗照(ふんしゃーぢゃお、結婚写真)は
台湾から伝わってきた習慣なのですが、
今では中国でも完全に定着、
北京の西の繁華街・西単(しーだん)に行けば、
道の両側に何十軒もの婚紗照専門店が並んでいます。

中国の婚紗照は、
1枚だけ撮影する日本の結婚写真と違って、
新郎新婦がほぼ1日をかけて、
様々な衣装、髪型、化粧、背景、ポーズで、
プロのカメラマンに100枚以上の写真を
撮ってもらいます。
そして、その膨大は写真の中から、
気に入ったものを選んでアルバムを作ったり、
大きく引き伸ばして額に入れたりするのです。

お値段はスタンダードなセットで
3,000元(45,000円)程度。
しかし、結婚業界はどこの国でも同じで
「一生に一度のことですから」とか、
「親御さんも喜びますよ」とか、
そういった殺し文句でたくさんのオプションを勧められ、
気付いてみたら10,000元(150,000円)を超えていた、
なんてこともあるそうです。

これに対し、中国の結婚式は日本のそれと比べると、
あまり気合が入っているとは言えません。
そもそも中国には日本のような専門の結婚式場はなく、
レストランかホテルの宴会場で
披露宴をするのが一般的です。

そして、披露宴も演出に乏しく、
一応、友人代表のような人が司会をするのですが、
関係者の挨拶が一通り終わって、
ご飯を食べ終わると、みんな三々五々帰っていく、
という、私たち日本人の目から見ると
なんだかあっけないものです。

こうした状況に目を付けて、最近北京でも、
日本人が起業した結婚式プロデュース会社が
でき始めています。
こうした会社は、
様々な演出で感動的な披露宴を盛り上げる
日本式の結婚式を中国で広めようとしています。

日本式の結婚式が、
あっけない披露宴に慣れた中国の人たちに
広く受け入れられるようになるまでには、
まだまだ時間がかかるかもしれませんが、
何千元(何万円)もする婚紗照が
これだけ普及しているのを見ると、
いつか大ブレークする日が来るものと確信しています。

北京の結婚式プロデュース会社で
新たなマーケットを切り開くべく、
日々努力されている日本人起業家の方々には、
ぜひ、がんばってほしいと思います。


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2006年11月8日(水)

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