第634回
ペットボトルを待つ子供

中国の観光地に行って、
ペットボトル入りの飲み物を飲んでいると、
自分の背丈ほどもある
大きな農薬袋を持った子供が近くに寄ってきて、
私が飲み物を飲み終わるのを
じっと待っていることがあります。

そして、飲み終わったペットボトルを子供に渡すと、
その子供はニコリと笑ってペットボトルを農薬袋に入れ、
また他の人のところに行って、
その人が飲み物を飲み終わるのをじっと待つのです。

この子供たちは観光地の環境を守るために
ボランティアでゴミ拾いをしているわけではもちろんなく、
集めたペットボトルを売って家計の足しにしている、
近隣の貧しい農家の子供たちなのです。

中国ではペットボトルは結構いい値段で売れます。
集めておいたペットボトルを回収業者に売ると、
1本2角(3円)ぐらいで買ってもらえるそうです。
1日50本集めれば10元(150円)。
これを1カ月続ければ300元(4,500円)。
貧しい農家にとっては、バカにできない現金収入です。

このため、中国の一部の観光地では、
たくさんの貧しい農家の子供たちが、
ペットボトルの争奪戦を繰り広げています。
道端やゴミ箱の中のペットボトルは
既に拾われてとっくになくなっていますので、
子供たちは飲み物を飲んでいる観光客に目を付けて、
「こいつはオレの獲物だからな!」
と他の子供たちににらみをきかせながら、
そばで飲み終わるのを待っているのです。

中国ではゴミは分別して捨てられていません。
ペットボトルなどのいわゆる資源ゴミも、
他のゴミといっしょくたにして捨てられています。
しかし、こうした貧しい農家の子供たちや
回収業者の人たちのおかげで、
中国のペットボトルリサイクル率は、
かなり高くなっているのではないでしょうか。

彼らはカネが儲かるから
ペットボトルを回収しているだけなのですが、
無意識のうちに環境保全や資源のリサイクルに
大きく貢献することになっているのです。


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2006年11月10日(金)

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