第649回
今年のトレンドは「投資詐欺」

以前、「日中タイムマシン経営」という
お話しをしたことがありますが、
最近は、日本で流行ったものが、
一定期間を置いて中国でも流行る、という傾向が、
益々顕著になっているように思います。

それはモノやサービスだけではなく、
あまり流行ってほしくはないのですが、
詐欺の世界でも言えるようです。

第487回 中国版「振り込め詐欺」でもお話しした通り、
昨年のトレンドは「振り込め詐欺」でした。
日本で「振り込め詐欺」が流行ってから、
中国で流行るまで、
タイムラグはほとんどありませんでした。

今年の日本の詐欺のトレンドは「投資詐欺」でした。
外国為替取引による高配当をうたって
320億円を集めたジェスティオン・プリヴェ・ジャポン、
IP電話中継局オーナーシステムで
400億円を集めた近未来通信などなど、
「ラクして儲けたい」と思っている人の
心の隙を狙った詐欺が横行しました。

この「投資詐欺」は中国でもすぐに流行しました。

前回お話しした上海のIPO詐欺では、
252人が合計2,000万元(3億円)を騙し取られたそうです。
1人当たりにすると約8万元(120万元)。
被害者はリストラされた労働者や、
退職した高齢者が多いそうですので、
たぶん、全財産を投資して騙し取られているのでしょう。

また、遼寧省営口市では、
健康食品として注目されているアリの養殖に投資すれば、
35-60%の高額配当が得られる、といううたい文句で、
投資会社が民衆から30億元(450億円)を騙し取る、
という事件が発覚しました。
詐欺師も「アリの養殖」なんていう地味な投資対象に、
30億元も集まるとは思わなかったのではないでしょうか。

こうした詐欺の手口のタイムマシン状態を見ると、
中国の詐欺師は日本の詐欺の手口を入念に研究し、
日本で流行った手口をすぐに輸入して
中国でも流行らせているとしか思えません。

今年もあと半月で終わり。
さて、来年はどんな詐欺が流行るのでしょうか。
中国で詐欺に引っかからないためには、
日本で流行る詐欺の手口を、
事前に勉強しておく必要がありそうです。


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2006年12月15日(金)

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