第648回
中国版IPO詐欺

最近、日本では新規公開株(IPO)の取得を
狙う人が増えているようですが、
ここ中国でもIPOは人気です。

IPOとはInitial Public Offeringの略で、
未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、
投資家に株式を取得させることを言います。
株式上場に際しては、上場前に、
新たに発行した株式や既存株主が保有している株式が
公募により証券会社経由で売り出されます。

前評判の高い会社ですと、この公募価格より、
上場後の株価の方がずっと高くなりますので、
「ほぼ確実に、それも短期間で儲かる方法」として、
IPOの公募に申し込む人が殺到、
抽選に当たるのは至難の技、
という状態になっているようです。

記憶に新しいところでは、今年10月の中国工商銀行のIPO。
資金調達額は史上最大の200億米ドルと言われていましたが、
公募受付開始1時間で既に応募超過となり、
初日だけで調達予定額の3倍近い
560億米ドルの注文があったそうです。

IPOの人気が高く、申し込んでも申し込んでも落選が続くと、
「何とか、他の人より先に、上場が予想される会社の
未公開株を取得したい」と思うのが人情。

そうした心の隙につけこんで、
上場する予定のない会社の株を、
さも近々上場するかのように話して高値で買い取らせる、
という詐欺事件が中国で多発しています。

最近、上海では、
「上場すれば投資が数倍になって帰ってくる」などとうたって、
未上場の国有企業株を売りつける詐欺が横行しているそうです。
今年8-10月の3カ月だけでも当局に300件の通報があり、
うち40件が立件に向けて捜査が進んでいる、とのことです。

こうした詐欺師が売る株式はホンモノなのですが、
陜西省西安市や四川省成都市など、
上海の人たちには馴染みの薄い内陸部の会社のものが多く、
そのほとんどが上場する可能性が
ほとんどないものなのだそうです。

欲の皮が突っ張らかると、
ロクなことはありません。
この世には必ず儲かる儲け話などない、
ということを心に刻んで、
今日も額に汗して働くべし、ですな。


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2006年12月13日(水)

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