第653回
共産主義国家のメリークリスマス

今日はクリスマス。
クリスマスは基本的にはキリスト教の祝日ですので、
北京の街の中でも、
欧米人のお客さんが多い一部のホテルや商業施設では、
きれいなクリスマスの飾りつけをしていますが、
ほとんどのところでは普段と同じであり、
日本のようなクリスマスに向けての盛り上がりは
まったく感じられません。

では、中国にはキリスト教徒がいないのか、
というと、そんなことはありません。
中国には、カトリック教徒が500万人、
プロテスタントの信者が1,600万人、
合計で2,000万人を超える
キリスト教信者がいると言われています。
割合でいえば、国民65人に1人が
キリスト教信者ということですから、
無神論者であるコミュニストの国にしては、
少なくない数字です。

北京最大の繁華街・王府井(わんふーちん)の
歩行者天国を抜けてどんどん北に歩いていくと、
右側に大きくて立派な
「天主教堂(てぃえんちゅーじゃおたん、
カトリック教会)」があります。
この教会を含めて、北京には、
市内に8カ所、郊外に9カ所、
合計17カ所のカトリック教会があるそうです。

中国に来た当初、私はこうした教会を見て、
「共産主義国・中国でも一応、
信教の自由が認められているんだ」
と思ってしまったのですが、
中国国内でキリスト教の宗教活動が認められているのは、
カトリックの「中国カトリック愛国会」や
プロテスタントの「中国キリスト教協会」など、
中国政府公認の宗教団体だけです。

そして、そうした政府公認団体に所属せずに、
キリスト教の宗教活動を行う団体は、
「地下教会(でぃーしゃーじゃおほい)」と呼ばれ、
厳しい弾圧の対象となります。

先日も黒龍江省の地下教会
「三班僕人(さんばんぷーれん)」の指導者3人が、
他教派との衝突で22人を死亡させた罪を問われ、
死刑を執行されました。
今年に入ってから、何人もの同教会のメンバーが、
死刑に処せられているそうです。

中国政府にとって、反政府的な宗教を立ち上げられて、
信者がどんどん増えていくほど怖いことはありません。
そのためにも、政府の息がかかった公認宗教団体を作って
対外的には「中国ではどの宗教を信じるのも自由なんですよ」
とアピールするのと同時に、
非公認団体に対しては、
容赦のない弾圧を加える必要があるのです。


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2006年12月25日(月)

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