第670回
北京の香港系オフィスビル

新築が不便なのはマンションだけではなく、
オフィスビルも同じです。

私が1996年に北京に赴任して来たとき、
丸紅の北京支店は
CBD(Central Business District)の中心にある
国際貿易ビルというビルに入っていました。
しかし、1年後、国際貿易ビルの家賃の高騰により、
同支店は北京駅近くにできたばかりの
恒基中心(ヘンダーソンセンター)というビルに移りました。

新築のオフィスは大変きれいでよかったのですが、
案の定不具合が続出。
低層階のショッピングモールも、
ほとんどお店が入っていませんでしたので、
最初はえらく不便でした。

ヘンダーソンランドと言えば、
李兆基率いる香港の大デベロッパー。
中国では、香港の大手デベロッパーが
開発したオフィスビルでさえも、
こんな感じなのです。

北京には香港のデベロッパーが
開発したオフィスビルがたくさんあります。
多くの日系企業もそうした
香港系のオフィスビルに入居しています。

香港系のオフィスビルは造りが豪華で、
広々としているのは良いのですが、
その時々の不動産マーケットの状況、
自社のオフィスビルが置かれた立場によって、
毎年、家賃が乱高下することもあるそうです。

彼らは、新築で入居者が少なく、
付帯施設などがまだ整備されていないときには、
家賃を安くしてくれるのですが、
付帯施設が完備され、入居者が一杯になると、
とたんに強気に出て、家賃を大幅に上げてくるようです。

ま、合理的っちゃ合理的ですが、
これじゃ長期の経費予算、組めませんわな。

その点、日系の不動産会社が運営するオフィスビルは、
割高ながら家賃は安定しているようです。
また、物業管理サービスもしっかりしているため、
多くの日系企業が入居しており、
なかなか空きが出ないようです。

合理性を重視する中国・香港系のオフィスビルと、
安定性を重視する日系のオフィスビル。
オフィスビルの運営方法一つとっても、
日本の文化と中国・香港の文化は全く違うものなのです。


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2007年2月2日(金)

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