第677回
中国の確定申告義務化が意味するもの

日本では確定申告のシーズンを迎えているかと思いますが、
ここ中国でも今年から、
年収12万元(180万円)を超える高額所得者は、
確定申告が義務付けられるようになりました。

日本では年収2,000万円を超える人が
確定申告の対象となることを考えると、
年収12万元というのはずいぶんと
基準が低いように思われるかもしれませんが、
首都・北京でも、納税者500万人のうち、
年収12万元超の人は20-30万人、
5%前後しかいないようです。

今回の施策は、事実上野放し状態であった
自営業者など高額所得者への徴税強化、と見られています。
対象者が期日までに申告を行わなかった場合は
1万元(15万円)以下の罰金、
税額の計算根拠の捏造については
5万元(75万円)以下の罰金、
虚偽の申告に対する追徴課税は
不足税額の50-500%、とのことです。

中国の改革開放政策は、
ケ小平の「先富論」に基づいて、
「金持ちになれる人から金持ちになってもらう」
という原則で進められてきました。

最初からいきなりみんなで豊かになるのは無理なので、
第一段階として、まずは、
自営業者や外資企業の力を借りて沿海部を豊かにし、
第二段階として、その沿海部の富を内陸部に還流させて、
中国経済全体の底上げを図る、という方法が採られました。

この政策は見事に当たり、
中国は沿海部を中心に驚異的な高度経済成長を果たしました。
この高度経済成長のおかげで、
沿海部には数多くの金持ちが生まれました。

しかし、今回の高額所得者に対する徴税強化や、
外資企業に対する優遇税制撤廃法案の上程などを見ていると、
中国政府は今年、2007年から、改革開放政策は第二段階、
すなわち、沿海部の富を内陸部に還流させる時期に来た、
と見ているように感じられます。

そうした観点から、今回の高額所得者への
確定申告の義務化を見ると、
「あんたたち、もう十分儲けたでしょ。
今までは経済成長のために大目に見てきたけど、
今後は払うものは払ってもらいますよ」
という中国政府のメッセージのように思えます。

そして、中国共産党は金持ちから吸い上げたカネを、
ねずみ小僧よろしく貧しい農村にばらまいて
老百姓(らおばいしん、一般庶民)の人気を集め、
政権基盤を盤石なものにしていくのです。


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2007年2月19日(月)

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