第684回
中国株の上昇はオリンピックと万博までか?

日本から中国に来た方は、よく
「中国の景気は2008年の
北京オリンピックまでは大丈夫だ」とか
「2010年の上海万博までは好景気が続く」
というようなことをおっしゃいます。

この言い方、21世紀が始まった当初は
「そんな先まで中国の好景気は続くんですよ」
という意味で使われていましたが、
今となっては北京オリンピックは来年、
上海万博も3年後に迫っています。

「オリンピックや万博までは、
中国の好景気は続く」ということは、
裏を返せば「その後はどうなるかわからない」
ということです。

しかし、私は、
北京オリンピックや上海万博が終わったら、
中国の高度経済成長は終焉を迎え、
不景気の時代に突入するとはどうしても思えません。

なぜなら、中国の今の好景気は
オリンピック特需や万博特需ではないからです。
自らの力で好景気になっているところに、
たまたまオリンピックと万博が開かれる、
と言った方が正確なのではないでしょうか。

私だけではなく、
中国に住んでいる日本人や中国の人たちも、
中国の経済成長とオリンピックや万博は、
あまり関係がない、と考えているように思います。
それが証拠に、私は中国に住んでいる人で
「オリンピックまで」とか「万博の後は」
という区切り方をする人に会ったことがありません。

「オリンピックまで」とか、「万博まで」という区切り方は、
話をおもしろくするために、
日本のメディアによって作られたものなのかもしれません。

ただ、中国株の株価が
今後も右肩上がりに上がっていくか、
というと、それはわかりません。
株は売る人が多ければ下がりますので、
多くの投資家が「オリンピックや万博が終わったら
中国の経済成長は終わる」と考え、
手持ちの中国株を整理して現金化したり、
インド株やベトナム株に乗り換えたりすれば、
中国株の株価は経済の実態とは関係なく
下がる可能性があります。

先日も上海・深セン市場の株価が9%近く下がり、
世界同時株安の引き金となりましたが、
中国の将来に不安を感じた人たちが
中国株を投げ売りして株価が大幅に下落した時に、
自信を持って買い増しができるかどうかが、
今後の中国株投資家の明暗を分けるのではないでしょうか。


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2007年3月7日(水)

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