第690回
北京にロングステイするとしたら...

日本では今年から団塊の世代の大量退職が始まるため、
「時間もカネもある」と言われる
定年退職後の団塊の世代の需要を狙って、
様々な新製品や新サービスが発売されている、
と聞きます。

ただ、実際には「カネもある」の団塊の世代は
そんなに多くない、という意見もあり、
少ない退職金や年金を有効に使うため、
物価の安い国に移り住んで優雅に暮らす、
いわゆるロングステイをする人も増えているようです。

ロングステイ先としては、やはり、
物価が日本より安くて、気候が穏やかで、
治安が良いところ、ということで、
オーストラリア、ニュージーランド、
マレーシア、タイなどが人気のようです。

さて、私の住む北京は
ロングステイ先としてどうなのでしょうか。

北京は夏暑く、冬寒く、春は砂嵐が吹き荒れますので、
気候が穏やかとは言えません。
また、子供を外で1人で遊ばせられないことなどから考えても、
治安はお世辞にも良いとは言えません。

物価が安い、という点で言えば、
確かに北京の物価は東京の1/4程度ですので、
この点では合格です。
しかし、それはあくまで現地の人たちと
同じ生活を送った場合の話であり、
ちょっと贅沢して日本料理を食べたり、
移動にタクシーを使ったりすると、
生活費はすぐに跳ね上がってしまいます。

更に、中国に住むためには、
企業で働いて居留許可証と呼ばれる就労ビザを取るか、
学校に留学してXビザと呼ばれる留学ビザを
取らなければなりません。

Fビザと呼ばれる短期滞在ビザを取得すれば、
就労や留学、という理由がなくても
3カ月ぐらいは滞在できるらしいのですが、
1年間のビザを取ろうと思うと、
働くか勉強するかしないといけないようです。

ただ、北京には日本企業を定年退職後、
念願だった中国語マスターのため、
大学に留学に来ている方もいらっしゃいます。
こうした方々は、同じ大学に留学してきている
孫ほどの歳の「同級生」たちと、
毎日、一緒にご飯を食べたり、遊びに行ったりして、
非常に楽しそうなキャンパスライフを
送られています。
まるで、学生運動に明け暮れることで終わってしまった、
自らの青春時代を取り戻すかのように...。

北京は悠々自適なロングステイには向いていなさそうですが、
中国が好きで、中国語を勉強する意欲のある方にとっては、
北京への語学留学、というのも、
またおもしろい選択肢かもしれません。


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2007年3月21日(水)

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