第697回
既得権益にあぐらをかく人々

私、北京市内の移動は
専らタクシーを利用しているのですが、
極力、ビルやホテルの前に
並んでいるタクシーではなく、
通りを走っている、いわゆる
流しのタクシーに乗ることにしています。

これは並んでいるタクシーの運転手には
既得権益にあぐらをかいている人が多いからです。
ビルやホテルの前に並んで客待ちできるのは、
そのビルやホテルの認可を受けた
タクシーのみであることが多いのですが、
彼らは、常に長距離狙いですので、
目的地が近かったりすると、
「近すぎるよ。
オレが何時間待ったと思ってんだよ!」
などと言われてしまいます。

流しのタクシーは、
いくら目的地が近くても、
決してそんなことは言いません。

北京で最もたちの悪い既得権益タクシーは
北京空港で並んでいるタクシーです。
北京空港で乗客を乗せるのには許可証がいるらしいのですが、
その許可証にあぐらをかいてしまっており、
私の家や事務所など、
空港から50元(750円)ほどの近い目的地を告げると
「今日は運がわりぃなぁ」とか、
「4時間待って50元かよ」などというぼやきを
道中、ずーっと聞かせ続けられることもあります。

早く、北京空港と東直門を結ぶ空港鉄道ができて、
こういうろくでもないタクシーの運転手は、
みんなおまんま食い上げになってしまえばよいのに、
と思います。

どうも人間という動物は、
ちょっと恵まれた状況に置かれると、
すぐにその状況にあぐらをかき、
努力をしない怠け者になってしまうようです。

世界を見渡しても、ちょっと手を伸ばせば
果物に手が届くような暖かい地域より、
きちんと考えて農作業をしないと
植物が枯れてしまうような寒い地域の方が、
経済が発展しています。

また、金持ちの二代目にドラ息子が多いのも、
子供の頃に恵まれ過ぎた環境で
育ってきたためなのではないでしょうか。

そう考えていくと、
私が将来どんなに金持ちになったとしても、
うちの3人の娘には、あえて貧乏をさせ続けて、
自分の力で生きていく能力を
鍛えてやった方がよいのかもしれません。
既得権益にあぐらをかいて、
努力をしない人間に育ってしまったら
本人たちがかわいそうですからね。

ま、そんな心配をしなくても、
一生、金持ちには
ならないのかもしれませんが...。


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2007年4月6日(金)

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