第696回
金属ドロボー多発

最近、日本では銅、アルミ、ステンレスなど、
いわゆる「金目のもの」を盗む
金属ドロボーが増えているようです。
これは中国などの金属に対する需要の高まりにより、
金属の価格が高騰しており、
金属ドロボーが割に合うようになってきたため、
と言われています。

それにしても、お墓のアルミ製の線香皿や
水道の蛇口が盗まれた、というニュースを聞くと、
「日本人もそういうことするんだ...」と驚いてしまいます。

日本は豊かな国ですし、国民の教育レベルも高いので、
今までは街中に「金目のもの」が
わりと無防備な状態で置かれていても、
そんなものを盗む人はいませんでした。

しかし、今回、
日本で金属ドロボーが多発しているのを見ると、
いくら金属価格が高騰しているとは言え、
一部の日本人は踏み越えてはいけない一線を
踏み越えつつあるのではないか、と思えてしまいます。

一方の中国では、
以前から銅を売りさばくために
電線を盗む輩が多かったのですが、
最近の金属価格の高騰で、
その数はさらに増えているようです。
ただ、日本と事情が違うのは、
中国の金属ドロボーは命がけであることです。

中国では以前、北京、河北省などで
電線を盗んでいた農民4人に
死刑判決が出たことがありますし、
最近も広東省仏山市で電線ドロボーが
警官に銃で撃たれて死亡しました。

電線は1km盗めば5万元(75万円)と
中国にしたらかなりのまとまった金額になるようなのですが、
その代わりに、それによって大規模な停電や
電話の不通を引き起こし、
「国家の安定を乱す、反社会的行為」とみなされれば、
死刑になってもおかしくありません。

日本の金属ドロボーは、
捕まっても単なる窃盗ですから
実刑にすらならない可能性が大きいですが、
中国の金属ドロボーは、
捕まったら死刑になる可能性もあるのです。

日本で盗難に遭った「金目のもの」は、
ほとんど中国に輸出されているといいます。
もしかすると、中国の金属ドロボーが、
中国での命がけのドロボー稼業から足を洗い、
罰則が緩い日本で
カネに目がくらんだ日本人を使ってドロボーをさせている、
なんてこともありうるのではないでしょうか。


←前回記事へ

2007年4月4日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ